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世界初、東大などが台風の“透視”に成功した!

世界初、東大などが台風の“透視”に成功した!

台風を縦切りにした密度プロファイル(© 2021 Hiroyuki Tanaka/Muographix)

東京大学や英シェフィールド大学、伊原子核物理学研究所などの国際研究グループは、世界で初めて台風の透視に成功した。宇宙に由来する高エネルギー素粒子「ミュオン」で巨大物体を透視する技術を活用。ミュオンの到達数を時間ごとに計数することで、台風の内部構造や動きを測定できた。台風の早期警報システムに応用できると期待される。

鹿児島に設置されたセンサーで、2016―21年に九州地方近傍を通過した台風のミュオン観測に成功。台風の中心付近の温度が高くなる「温暖核」に対応する低密度領域が見られ、密度差が台風の強さの推定に役立つと考えられる。また気象観測を行う「測候所」がない方向でも台風接近の状況を観測で捉えられるとみられる。

ミュオンは超新星爆発などの高エネルギーの発生で加速する宇宙線と、地球大気が反応してできる素粒子の一つ。これまでに火山や原発などの陸域・海域の透視に成功。大気現象の観測に使われたのは初めて。

日刊工業新聞2022年10月12日

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