ニュースイッチ

水素エンジン普及へ、建機の業界団体が政府に求めること

水素エンジン普及へ、建機の業界団体が政府に求めること

建機は、郊外での水素ステーション設置が課題となる(イメージ)

日本建設機械工業会(建機工)は、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)や情報通信技術(ICT)対応建機の普及促進に向けた2023年度税制改正要望を取りまとめた。カーボンニュートラルに向けた投資促進税制では、対象製品に「水素製造・運搬・貯蔵設備」を追加するよう求めた。水素インフラの整備促進や、割高な機械を買うことになる建機ユーザーへの支援なども要望に掲げた。

カーボンニュートラルに向けた投資促進税制は「大きな脱炭素化効果を持つ製品」の生産設備導入に対し、税額控除や特別償却が適用される。同製品については現在、リチウムイオン電池(LiB)や燃料電池、化合物パワー半導体、洋上風力発電設備などが指定されている。建機工では水素エンジンを搭載した建機の普及を見据え、同製品に水素製造・運搬・貯蔵設備を含めるよう求めた。

建機業界では電動のマイクロショベルやミニショベル、有線(トロリー)式鉱山ショベルなどがコマツや日立建機を中心に発売されている程度で、燃料電池や水素ショベルの開発は緒に着いたばかり。電動ショベルは排ガスを出さず騒音が小さい利点はあるものの、パワー不足や稼働時間の問題があり、価格の高さと相まって普及が進まない要因になっている。

山奥のダム工事などでは付近に充電設備がなく、凹凸の多い工事現場で建機を動かせばたちまち電池切れとなって急速充電の必要が生じる。水素エンジンは液体水素の運搬や貯蔵設備整備の課題はあるものの、解決できれば電池よりもこうした問題は少ない。

水素製造や貯蔵・運搬設備を投資促進税制の対象とすることで、水素関連メーカーの工場投資が促された結果、水素のコストが下がり、水素ショベルの開発や普及を早められるとの読みがある。電動ショベル、水素ショベルとも普及には高価格がネックとなることから、ユーザーへの支援やインフラ整備への支援も求める考えだ。


【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社
日刊工業新聞2022年10月7日

編集部のおすすめ