欧州市場で地位確立へ、日本触媒がAWE大型セパレーターで攻める
日本触媒は同社従来品に比べ幅が約5割広いアルカリ水電解装置(AWE)用セパレーターの開発に着手した。現在の幅1・2メートルから同1・8メートル以上に大型化する。国内拠点に設備を新設し、2025年をめどに試験生産を始める。投資額は非公表。高圧方式の採用やAWEの大型化で水素製造を効率化する動きが欧州を中心に進んでおり、日本触媒はセパレーターの大型化で早期に欧州市場での地位確立を目指す。
日本触媒は19年に1・2メートル幅のセパレーターを開発し、AWE用セパレーター事業に参入した。欧州の顧客を中心に評価が進んでいるが、水素の製造効率向上を目的に、より大型で高圧方式に適したセパレーターが求められているという。
AWEは、セパレーターで仕切られたセルにアルカリ水溶液を供給し通電することで水素と酸素を製造する装置。再生可能エネルギー由来の電力を用いることでグリーン水素を製造でき、次世代エネルギーとして注目されている。セパレーターは水素の製造効率に大きく関わるキーマテリアルで、日本触媒も開発に力を入れる。
大型セパレーターの開発は、日本触媒がトクヤマと共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に採択された「高圧方式に適した大型アルカリ水電解装置及びセパレータの開発事業」の一環。
トクヤマが開発する高圧AWEのパイロット設備に、日本触媒が開発する大型セパレーターを組み込み、研究を進める。
日刊工業新聞2022年10月7日