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キヤノンが半導体露光装置で攻める、500億円で新工場

キヤノンは栃木県に半導体露光装置の新工場を建設する。総投資額は500億円強で、2025年春の稼働を目指す。同社の露光装置の生産能力は約2倍に高まる。足元、DRAMなどのメモリー半導体の需要は減速しているが、パワー半導体やアナログ半導体の需要は依然として旺盛。キヤノンが手がけるi線やフッ化クリプトン(KrF)露光装置の販売も増えている。増強投資で需要の伸びに応える。

同社は現在、宇都宮市と茨城県阿見町の計2拠点で露光装置を生産している。新工場は宇都宮の拠点に隣接して所有する約7万平方メートルの空き地に新たな建屋を建設し、生産設備を導入する。23年中の着工を予定する。

キヤノンは22年の半導体露光装置の販売台数に関し、前年比29%増の180台を見込む。新工場の建設で2拠点を合わせた生産能力を2倍近くに高める。

新工場では将来的に、同社が次世代装置と位置付ける「ナノインプリント装置」の生産も視野に入れる。ナノインプリントは3次元(3D)の回路パターンを形成した原版(マスク)をウエハー上にある感光材の液体樹脂に押しつけながら光を当て、ハンコを押すように回路を転写する。

一度で転写でき、複雑な回路にも対応しやすいとされるため、実用化されれば製造コストや消費電力の抑制につながると期待されている。


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日刊工業新聞2022年10月6日

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