エンジン不正の日野自動車が苦境、トラック販売7割減
エンジン不正問題に揺れる日野自動車の9月の普通トラック(積載量4トン以上の大型・中型トラック)の国内販売台数が、前年同月比71・1%減と大幅に落ち込んだことがトラック業界関係者の調査で分かった。大型トラックの全車種、中型トラックの一部車種の出荷を3月から停止していることが影響した。一方、小型トラックは10月5日にも生産を再開する。当初の計画より2日遅れる見込み。
業界関係者がまとめた、日野自の9月の販売台数は大型が同73・6%減、中型が同67・2%減だった。合計の販売台数はいすゞ自動車、UDトラックス、三菱ふそうトラック・バスに次ぐ4位に下落。減少率は前月から2ポイント拡大した。
ただ、いすゞと三菱ふそうも半導体や部材不足が響いて前年割れの状態が続いている。4社合計の普通トラックの国内販売台数は同36・0%減で、11カ月連続で前年同月の実績を下回った。UDのみ、中型、大型ともに前年同月の実績を上回った。
4―9月期の普通トラックの販売台数は、日野自の不正問題が影響し、前年同期比37・7%減と大きく下落した。日野自が同59・9%減、いすゞが同31・6%減、三菱ふそうが同26・7%減と軒並み落ち込んだものの、半導体不足の影響が軽微だったUDのみ前年同期の販売実績を上回った。
日野自は国内向けトラックの生産を8月22日からほぼ停止していたが、10月5日に小型トラックの生産を再開する予定。11月1日に中型トラックの一部車種の生産も再開する見通しだ。
小型トラックと中型トラックの一部車種は9月中旬に出荷を再開。これらの2022年3月期の国内販売台数は3万4000台超で、バスを含めた国内年間販売台数の約6割に上る。
ただ、大型をはじめとする残りのトラックは、エンジンや車両の型式指定が取り消されているため出荷再開のめどが立っていない状況で、当面苦しい状況が続きそうだ。