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ケーズHDの“がんばらない経営” 価値訴求で脱価格競争へ持ち込めるか

遠藤裕之社長「ビックリするような低価格がでなくなった」 家電業界の構造変化を指摘
ケーズHDの“がんばらない経営” 価値訴求で脱価格競争へ持ち込めるか

ケーズホールディングス遠藤裕之社長

 ―消費動向をどうみますか。
 「悪くはない。白物の数字など見ている限りは前年を割っていないし、高額品も売れている。ただ、全体としては客数が低く、単価で稼ぐ構図だ。(主力の)テレビは高画質の4Kが売れて前年比で上がっているが、本格的な買い替え需要は発生しておらず、特に客数については厳しくみえる」

 ―財布のひもはまだ緩んでいないのでしょうか。
 「ただ、洗濯機の高機能の商品は20万円も30万円もするが、売れている。これをどうみるかだ。今年も昨年と同じように客数減だが、単価で稼ぐ状態が続くとみている」

 ―家電は価格競争が沈静化しているようにみえます。
 「これまで大手の家電量販店がプライスリーダーで、業界はそこを追いかけていたが、大手もそこまで(安い)価格を出さないで経営をしようとしている。全体としてビックリするような価格がでなくなった」

 「一方でメーカーもジャブジャブに商品を作り、お金をつけて売るようなことはしなくなった。メーカーもシェアを追う時代ではなくなってきた。小売りと製造側の二つの要因で売価が大きくブレなくなった。価値を訴求する良い方向だ」

 ―メーカーからのヘルパー派遣もかなりありましたが、それも減っていますか。
 「できるだけ来て頂かなくてもいいといっている(笑)。ヘルパーさんがいなくなっても、私たちにはリスクではない」

 ―携帯の料金引き下げが取り沙汰されています。
 「大歓迎だ。取扱手数料が減るのではないかと危惧するところもあるようだが、こちらも私たちにとってリスクではない」

 ―最近は郊外型と都市型のビジネスモデルを持つ家電量販店大手も多いです。
 「都市型と郊外型ではコストも違うし、能力も違う。都市型の立地は最新の情報を発信して買ってもらうモデルだし、それに都市型だと家電だけではなく、食品や日用品、スポーツ用品など家電以外の商品が必要になる。それぞれマーチャンダイザーが必要になりコストがかかってしまう。このためやらない」
(文=森谷信雄)
日刊工業新聞2016年1月26日 建設・エネルギー・生活1面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
「がんばらない」経営を掲げてきた同社。例えば無理な売り上げ目標を設定しなければ、顧客に無理に高い価格の商品を売りつけるようなこともないという発想に基づいた自然体の経営だ。無理をしないことで規模も急激に拡大しないが、安定した成長を続けている。

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