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”曲がる”有機EL-上昇カーブ描く!?

フレキシブル有機エレ実用化―産学で新研究組織、山形大など30社参加
”曲がる”有機EL-上昇カーブ描く!?

デバイス開発までを視野に入れて研究に取り組む(現行のコンソーシアムで試作したフレキシブル有機発光パネル)

 山形大学は2016年度に柔軟で曲げられる有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルなど、フレキシブル有機エレクトロニクスの実用化に向けた新たな産学コンソーシアムを立ち上げる。現在、山形大が主導するフレキシブル基板をテーマとした「有機薄膜デバイスコンソーシアム」で生まれた部材、装置などの各種要素技術を融合し、デバイス化までを視野に入れた研究開発に取り組む。新コンソーシアムの形成には20―30社の参加を見込んでいる。

 新コンソーシアムは「山形大学フレキシブル有機エレクトロニクス実用化技術コンソーシアム(仮称)」。取り組む技術課題としては、有機薄膜デバイス向けの封止技術をはじめ、欠陥検出技術、修正技術、光取り出し効率化技術などを想定している。現行のコンソーシアムの参画企業を中心に参画を促す。

 山形大は経済産業省の補助事業の一環として、13年4月に「有機薄膜デバイスコンソーシアム」を発足した。従来の一般的な透明電極である酸化インジウムスズ(ITO)に替わる透明電極の開発と、フレキシブル基板(超薄板ガラス、ステンレス箔、フィルム)への適用はじめ、ロールツーロール方式による生産要素技術の開発などがテーマ。

 15年度が現行コンソーシアムの最終年度となり、現在は帝人神戸製鋼所など21社が参画している。
 フレキシブル有機エレクトロニクスの実用化に向けて、現行の有機薄膜デバイスコンソーシアムのプロジェクト長を務める山形大の向殿充浩産学連携教授は「3―5年先をにらんで研究プロジェクトを進化させていきたい」としている。
日刊工業新聞2015年04月20日 科学技術・大学面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
曲がる素材の魅力は用途が幅広いことだ。商機拡大を見越して、各地で研究開発が進む事例の一つであり、製品化に向けた用途開発を進めることがカギとなる。

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