「“お得”が隠れた企画はイヤ」「短時間は疑問」…学生たちが漏らす“インターンシップの本音”
日刊工業新聞社は、大学1―3年生向けのインターンシップ(就業体験)を実施した。実施期間は2022年8月29―9月9日(平日のみ)で、8大学計10人の学生が参加。企業への取材や営業、出版や展示会の企画など幅広い業務を体験した。
多くの学生が、インターンシップを通じて就職活動の不安を事前に解消し、キャリアイメージをより具体的に描こうとしている。しかし、インターンシップを新卒採用の延長線上に置く企業も少なくない。学生たちはこの齟齬をどのように受け止めているのだろうか。
【インターンシップ参加学生所属校(五十音順)】
学習院大学、成蹊大学、上智大学、拓殖大学、筑波大学、明治大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学
【ナビゲーター】
日刊工業新聞社 デジタルメディア局長 武田則秋
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―この度はご参加いただきありがとうございます。10日間の体験はいかがでしたか。
S・M「新聞社の業務を疑似的に体験できるプログラムに参加できてよかったです。気になる企業や業界について、実際に仕事を体験しなければ分からない部分は多いと感じました」
I・H「記者の仕事だけでなく、営業やイベント企画など幅広い業務を体験できました。様々な部門の社員から話を聞けたことも、いい経験になりました」
K・K「同世代の人たちが普段、何に関心を持っていて何を考えているのか知ることができました。同じ業界を志望する人と意見や悩みを共有することで、自分を客観視できました」
―そもそも、皆さんはなぜインターンシップに参加するのでしょうか。当社以外の企画についてでも構いませんので、応募の動機や企画選びの着眼点を教えてください。
W・H「私は2年生です。同級生からは「まだ早くない?」とも言われましたが、将来像を具体的に描くのに役立つと思い、日刊工業新聞社の企画に応募しました。働くイメージをなるべくはっきり描きたいので、今最も興味のあるメディア業界で、実施期間も長いという点が応募の決め手になりました」
M・T「私は3年生になってから、計6社のインターンシップに参加しました。中には事業説明だけで終わる場合もありますが、出席者には秋に実施する別の企画の案内が来るので、早期選考に近い意識で臨んでいます。インターンシップでしか聞けない話は今後の面接に生かせるので、日数にかかわらず参加する意義はあると捉えています」
N・H「1日だけのインターンシップは、能動的に調べれば分かる内容が中心だと思い、これまで避けてきました。でも、今回のインターンシップでさまざまな人に会い、働く人の話を直接聞くことの大切さに気付きました。視野を狭めずに探したほうがよさそうだな、と今は思います」
―インターンシップを活用する企業が増え、内容や期間の多様化が進んでいます。実施企業に対して今後、改善してほしい点や要望はありますか。
Y・Y「内容があまり充実していなさそうなのに、早期選考などの“お得”が隠れている企画は嫌だなと感じます。でも、参加しないと他の志望者と差をつけられます。企画の質にかかわらず無理にでも参加せざるを得ない、というのは少し腑に落ちません」
S・M「インターンシップ参加者は、その企業を詳しく知りたい人が大半だと思うので、短時間で終わってしまうプログラムは疑問に思います。一方で、社員から直接説明を聞けるため、実感を持ちながら企業を理解できる貴重な機会だとも思います」
K・Y「インターンシップを通して自分に足りない部分を明らかにしたいので、参加者を鍛えてくれる企画に心を惹かれます。活動に対して、フィードバックをもらいたいです」
N・H「良い面だけ学生に見せるのではなく、デメリットも正直に教えてほしいです。難しいことかもしれませんが、興味のある会社なら、教えてもらった方がかえって安心するように思います」
K・K「女性の社会進出や活躍をうたう企業が増えていますが、実際に働く女性の話を聞く機会がほしいです。育児休暇や服装など、実情をもっと教えてほしいです」
―就業体験に応募した皆さんは、企業や就職活動に対する意識や関心が強いと思います。これらに対して、不安や悩みはありますか。
W・H「将来関わりたい分野はおおよそ決まっていますが、具体的に何をやりたいのか迷っています。本当にやりたいことを明確にできなければ、いざ就職してもいずれ齟齬が生じると思います」
S・M「私も、自分のやりたいことを実現できない会社に入ってしまうのが怖いです。自己分析が不十分なまま漠然と就職活動を進めると、条件や知名度だけで企業を選んでしまいそうです」
H・S「今回、取材や営業への同行を経験して、世の中には自分の知らない企業が膨大にあると痛感しました。自分に合う会社や魅力的な企業にどうすれば巡り合えるか、就活を満足に終わらせられるか不安です」
I・H「もし希望の業界に就職できなかったらどうしよう、と不安になります。私はまだ1年生ですが、出版業界で働きたいとすでに考えています。他の業界で働くイメージがうまく浮かびません」
―これからインターンシップに参加する学生も、おそらく皆さんと似た悩みを抱えているでしょう。経験者として、どのようなアドバイスを送りますか。
H・S「志望業界が定まっていないときは、今まで興味のなかった分野を覗いてみると意外な気付きがあるかもしれません。いろんなことを体験することが大切だと思います」
Y・Y「応募時にエントリーシートを求めるプログラムは少なくないと思います。何をどのように書くか、興味や関心といった常日頃の蓄積は重要だと感じました」
M・T「早く動いて、経験を積むことに尽きると思います。『このインターンシップに参加しないと分からなかった、知らなかった』という気付きがたくさんあります。結局のところ、企画の良し悪しは参加してみないと判断できないのではないでしょうか」
K・Y「就職活動のナビサイトなどで分かる情報と、インターンシップに参加することで得られる情報は違います。企業に対する先入観がどれだけ実情と離れているか、実感する機会は大切だと思います」
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