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エンジン不正問題の日野自動車、主力トラック生産再開も長い正常化への道のり

エンジン不正問題の日野自動車、主力トラック生産再開も長い正常化への道のり

10月3日に羽村工場で生産を再開する「デュトロ」(日野自提供)

日野自動車は国土交通省から出荷再開が認められたトラック、バス6車種のうち、2車種の生産再開時期の見通しを示した。主力の小型トラック「デュトロ」は10月3日、中型トラック「レンジャー」の一部車種は11月1日から生産を再開する。2車種の2022年3月期の国内での年間販売台数は3万4000台超で、全体の約6割に上るだけに大きな進展だ。ただ残りの車種の一部は型式指定の再取得に排ガス試験が必要なため、23年夏頃の生産再開を予定する。生産の正常化への道のりは長くなりそうだ。(石川雅基)

小木曽聡社長は16日、国交省で開かれた大型エンジンの型式指定の取り消しに向けた聴聞会に出席し、「全てのステークホルダーの信頼を裏切ったことを重く受け止めている」と陳謝した上で「当社の意見はない」と対象エンジンの型式指定の取り消しを受け入れた。今後、型式指定が取り消される大型エンジンを搭載する大型トラック「プロフィア」、大型観光バス「セレガ」を量産・出荷するためには型式指定の再取得が必要となる。

日野自はサプライヤー向けに開いた説明会で、型式指定を再取得するのに排ガス試験が必要となるトラックの生産再開時期を23年夏頃と説明している。今回、対象となったプロフィアに加え、レンジャーの一部車種が該当する。2車種の22年3月期の国内販売台数は、全体の約2割に上るだけに影響が大きい。

ただ、日野自は9日に国交省からエンジン3機種の排ガス性能が基準に適合しているとして出荷再開が認められ、同エンジンを搭載した6車種全ての出荷を15日までに再開した。あるサプライヤー幹部は「国内向けの出荷がほぼ止まった8月下旬での想定より再開が早かった」とした上で「想定よりも影響は小さくなりそう」と見通しを話す。

日野自は当面、受注残に対応するが、「イメージが低下していることに加え、23年夏まで一部車種を生産できないので他社に乗り換えたいユーザーは多い」(国内証券アナリスト)との見方もあり、先行きが見通せない状況が続きそうだ。

日刊工業新聞2022年9月19日

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