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鋼製支保工をワンボタンで建て込むスゴいトンネル工事向けロボットの仕組み

鋼製支保工をワンボタンで建て込むスゴいトンネル工事向けロボットの仕組み

模擬トンネルで実証し、現場適用できることを確認した

前田建設工業は、山岳トンネル工事向けに、天井や壁面を支える鋼製支保工の建て込み作業をワンボタンで行うロボットを開発した。ガイダンスによって支保工の位置を合わせる同社の従来ロボを改良し、オペレーターの技量や経験に左右されない建て込み作業を可能にした。作業時間は7・5分。今後は自社の建設現場に導入し、性能や効果を検証する。

「全自動鋼製支保工建込みロボット」を開発した。従来ロボと同じく支保工の位置を追尾するシステムと高性能のエレクタマシン、鋼製支保工の三つを制御するシステムに加えて、位置合わせ後に測量用ミラーを回収する機構を備える。同社ICI総合センター(茨城県取手市)の模擬トンネルで動作検証し、現場適用できることを確認した。

建て込み作業時は、タブレットの操作画面で開始ボタンを押すだけで計測から建て込みまで自動で行う。測量結果や支保工の建込み位置はすべて表示されるため、オペレーターはリアルタイムで作業状況を把握できる。エレクタに小型のウインチを搭載。ロープを巻き取るだけで従来は人手に頼っていた測量用ミラーの回収まで行える。

同社の従来ロボは、オペレーターがガイダンスと実際の建て込み状況を同時に確認しながら操作する必要があった。オペレーターの技量や経験により作業時間が大きく変わるほか、支保工の位置を把握する測量用ミラーを竿や網で回収する手間が課題となっていた。

日刊工業新聞2022年9月7日

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