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後継者問題が白紙に戻った日本電産、永守会長が会見で言い切ったこと

後継者問題が白紙に戻った日本電産、永守会長が会見で言い切ったこと

オンラインでそれぞれ会見した永守会長(右)と社長に昇格の小部氏

日本電産は関潤社長兼最高執行責任者(COO、61)の後任を小部博志副会長(73)に決めた。2日付で関氏が辞任し、小部氏が3日付で昇格した。ただ小部社長は創業メンバーの一人で、あくまで“リリーフ登板”。同社では24年4月までに副社長5人を抜てきし、2024年4月までにその中から次期社長を決める。後継候補だった関氏の退任で、永守重信会長兼最高経営責任者(CEO、78)の後継者問題が白紙に戻った。

小部新社長は営業畑が長く、日本電産の「大番頭」(永守会長)。永守会長は「絶対的信頼の置ける人物」と話す。後継と目した関氏は日産自動車副COOから20年4月に日本電産社長に転じ、21年6月にCEOを引き継いだ。しかし担当する車載事業の不振などから4月にCOOに降格。その後も同事業の業績低迷が続き、見切りを付けた格好だ。

そんな緊急事態を、創業から長く苦楽を共にした小部氏に託すことになる。ただ同社にとって後継者問題が最大の経営課題。先月25日に関氏退任が浮上した際には株価が大きく下落。このため「最長2年以内に新経営体制を構築する」(同)と明言した。

これまで外部から相次いで後継者候補を招へいしてきたが、次期社長候補には生え抜きの抜てきに転じる。永守会長は「外部の人間が内部より優秀だと思っていたのは、私の錯覚で失敗だった。日本電産の企業文化を学んだ社員の方が優秀で、世界で戦える」と言い切った。

【略歴】小部博志氏(こべ・ひろし)71年(昭46)職業訓練大学校(現職業能力開発総合大学校)卒。73年日本電産設立に参加。84年取締役、91年常務、96年専務、00年副社長。15年副会長執行役員最高営業責任者。福岡県出身。

日刊工業新聞2022年9月5日

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