中古車輸送に燃料サーチャージ制、燃料費高騰の影響補えず14年ぶり導入
ゼロは9月から国内の中古車輸送の運賃に燃料価格の上昇分を反映する燃料サーチャージ制を導入する。同社が中古車輸送でこの制度を導入するのは2008年以来約14年ぶり。ウクライナ情勢や為替の円安傾向などを受け、国内では燃料となる軽油の価格が過去1年間で約2割上昇。輸送車両の稼働率向上や固定費の削減などを進めてきたが、急な燃料費高騰の影響を補いきれないと判断した。
燃料サーチャージは燃料価格の上昇によるコストの増加分を別建ての運賃として設定する制度。ゼロは新車の輸送で既に国土交通省の指針に準拠した同制度を適用している。1日以降の発注分から、中古車輸送でも同制度の導入を決めた。
同制度では19年1月の料金改定時の軽油価格から、基準を1リットル当たり124円10銭に設定。所定の過去3カ月間の平均軽油価格が基準を上回った場合、その差分に応じて燃料価格の上昇率を算出し、運賃に反映する。1日から1カ月間の燃料費調整率は4・8%。通常の輸送運賃に同調整率をかけた料金を上乗せする。
ゼロは自動車メーカーの車両組立工場や中古車のオークション会場から、新車や中古車を販売店などに運ぶ国内車両輸送の大手。22年6月期連結決算(国際会計基準)は営業利益が前期比26・6%減の39億円だった。国内の燃料単価の上昇や、海上輸送の燃料サーチャージ上昇による影響が、前期比で営業利益を約8億円押し下げた。
一方、国内の中古車市場は車の生産制約で新車が不足し、中古車の下取りが減少。新車を含め需給が逼迫(ひっぱく)し、中古車の価格も高止まりしている。中古車競売大手のユー・エス・エスがまとめた7月の中古車の平均落札価格は前年同月比25・7%増の115万9000円と、2カ月連続で過去最高を更新した。輸送運賃の上昇は中古車価格の上昇幅と比べ小さいが、最終的に車を購入する家計などを圧迫することになりそうだ。