ブリヂストンの工場スマート化が本格化する
ブリヂストンは、国内外のタイヤ工場のデジタル化やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応に向けた改修を次期中期事業計画が始まる2024年から本格化する。人工知能(AI)による制御技術などを導入し、タイヤの生産効率化や性能向上につなげる。省エネルギーに資する技術の導入や、再生可能エネルギーの活用も図る。一部の工場で個別の技術に関するテストに着手した。既存設備の改修で投資負担を抑えつつ、工場の競争力を高める狙いだ。
タイヤ生産のバリューチェーンに蓄積した情報などをIoT(モノのインターネット)でつないだ「スマート工場」の構築を目指す。また50年のカーボンニュートラル達成に向け、下関工場(山口県下関市)など国内の4工場や欧州などの拠点で使う購入電力を再生エネに切り替えた。
国内外で24年以降、人の経験に頼らない生産に向けたAI技術や二酸化炭素(CO2)排出を抑える技術を活用した「グリーン&スマート工場」の構築を図る。こうした技術を導入した工場の新設には数百億円規模の投資を要することから、まずは既存工場を順次改修して要素技術を取り入れていき、モデル工場にする。ブリヂストンは、主力のタイヤ事業で国内外に75の工場を持つ。改修は同事業の拠点を中心に進める方針だ。
ブリヂストンは、タイヤ以外の事業を含めて19年に約160カ所あった国内外の生産拠点の約4割を23年末までに減らす方針だ。存続する拠点についてはスマート化などの投資を積極化し、高付加価値製品の創出に役立てる。
21年から3カ年の中計では、M&A(合併・買収)なども含む戦略投資に約6200億円を計上。24年からの新中計ではこれを上回る規模の投資を視野に入れており、その一環として工場の環境対応やスマート化を加速する。