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コストダウン限界…国内建築用ガラス最大4割値上げ

コストダウン限界…国内建築用ガラス最大4割値上げ

各社が値上げに踏み切る建築用ガラス(AGC提供)

ガラス大手3社は10月から国内の建築用ガラス製品を最大40%値上げする。原燃材料や副資材、物流費などの高騰に加え、急激な円安の進行に伴って関連コストが著しく上昇し「過去10年で見る限り異例」(日本板硝子)の状況にある。製造工程の効率化や合理化によるコストダウンは限界に達しており、今後の製品の安定供給に支障をきたすとして2年連続で値上げに踏み切る。(藤木信穂)

AGCがフロートガラスの販売価格を約40%、日本板硝子は板ガラスを35―40%、セントラル硝子はフロートガラスを35―40%引き上げるなど、各社とも10月1日納品分から一斉に値上げする。ガラスの主原料であるケイ砂やソーダ灰、ドロマイトなどの多くを輸入に頼っており、これらを溶かすために用いる重油や電気代も高騰しているためだ。

また、複層ガラスの中空層を保持するスペーサーや封着シール材などの副資材価格も急騰しているのに加え、輸送費も上昇、さらに円安が追い打ちをかけている。「ソーダ灰は1年前の約2・2倍に値上がりしており、これに円安の影響を加えると2・5倍になる」(AGC)という。

AGCの2022年1―6月期の日本を含むアジア全体の建築用ガラスの販売数量と価格は前年同期比で微増となり、利益も出ているが「材料高騰分を生産性改善やコスト削減などの自助努力だけですべて吸収することは難しい」(同)と値上げの実施を決めた。日本板硝子も価格改定により、年間数億円の損益改善を目指す。

各社は一部の製品では今回の値上げ以上の価格改定もあり得るとしている。また原燃材料高騰が続けばさらなる値上げの可能性も否定できない。

新設住宅着工戸数が減少し、国内の建築用ガラス事業は厳しい経営環境が続く。AGCとセントラル硝子は同事業の統合を目指していたが、両社の見解が一致せず2021年に協議を中止した。セントラル硝子は3月までに板ガラス生産窯を2窯停止。販売・加工拠点も集約し、体制の見直しを急いでいる。


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日韓工業新聞2022年8月22日

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