ニュースイッチ

川重とデクシスが独自技術融合、汎用ロボ外観検査システム投入

川重とデクシスが独自技術融合、汎用ロボ外観検査システム投入

川重とデクシスは両社の独自技術を融合して外観検査を自動化した

川崎重工業はデクシス(千葉県船橋市)と連携し、月内に汎用ロボットで使用できる外観検査システムを市場投入する。半導体など電子基板の外観検査は専用装置が主流だが、曲面のある複雑形状部品などは熟練技能者による目視に依存することが多い。両社は2輪車用燃料タンクの外観検査で、複雑形状を高精度に検知する性能を確認済み。需要が広がる外観検査の自動化ソリューション市場を開拓する。

川重、デクシス両社の独自技術を融合することで外観検査の自動化を実現した。加工対象物(ワーク)曲面に沿った輝線を自動追従し帯状撮像するデクシスの技術に、川重の「高速パルス出力機能」により0・1ミリメートル間隔でロボットが撮影の指示を出す機能を組み合わせた。システムにはデクシスのカメラ装置が組み込まれる。

通常はロボットの動作に応じ加減速が生じるため撮影画像にブレなどが発生するが、高速かつ定ピッチで撮影可能となるためワーク表面の傷や汚れを高精度で検知できる。

目視検査は熟練技能者不足や検査精度のバラつきといった課題があるため、自動化技術に対する潜在的ニーズは高い。川重の2輪車に搭載される17リットル燃料タンクの検査事例では、今回の新技術を使うと1―2分で終わり目視と遜色のない水準を確保した。

自動車部品や白物家電、バスタブ、陶器などさまざまな製品の最終・出荷前検査に利用可能という。川重商事(神戸市中央区)やデクシスなどを通じて販売する。システム構成によって大きく費用が左右されるが、概算として2000万円程度が想定される。

富士経済(東京都中央区)によると、検査装置の世界市場は2020年時点で約2500億円に上り、年率10%程度の成長が見込まれている。

川重はハードウエアであるロボット自体の進化に加え、ロボットを活用した各種課題を解決するアプリケーション開発による「コト売り」への転換を試みている。特に物流と検査分野での開発に注力しており、外観検査ソリューションはその経営戦略を体現する技術となる。

日韓工業新聞2022年8月24日

編集部のおすすめ