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光と酸が同時に存在すると分解するポリマー、東大が開発した意義

東京大学のラッセル豪マーティン大学院生と正井宏助教、寺尾潤教授らは、光と酸が同時に存在すると分解するポリマーを開発した。白金錯体でポリマー同士を架橋する。錯体部分に紫外光と塩化水素を作用させると分解する。光単独には安定なため発光機能を持たせられる。

環状分子のシクロデキストリン二つで白金を挟み込むように架橋部分を形成する。これが紫外光と酸を同時に作用させた場合に開裂する。酸がなければ光が当たっても安定で耐久性がある。白色光の下では透明で、紫外光を当てると発色し文字が浮かび上がる材料を作製できた。

光分解ポリマーは光を利用して分解をコントロールできるため環境調和性が高い。一方で光がある環境では分解するため扱いが難しかった。複数の刺激を組み合わせることでポリマーの分解機能が発現するタイミングをコントロールできる。

日刊工業新聞2022年8月22日

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