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51気圧・380℃で高濃度アンモニア合成、産総研が触媒開発

51気圧・380℃で高濃度アンモニア合成、産総研が触媒開発

単層カーボンナノチューブに担持したアンモニア合成触媒(産総研提供)

産業技術総合研究所の西政康主任研究員と陳仕元主任研究員、難波哲哉副研究センター長らは、51気圧、380度Cでほぼ平衡濃度のアンモニアを製造できる触媒を開発した。単層カーボンナノチューブにルテニウムを担持する。平衡濃度はその温度圧力条件での限界の濃度にあたる。環境負荷の低いアンモニア合成につながる。

窒素と水素を反応させてアンモニアを合成する。単層カーボンナノチューブにセシウムを介してルテニウムの微粒子を固定した。直径は2ナノメートル(ナノは10億分の1)程度。単層カーボンナノチューブの表面積が大きいため、高温にさらされても微粒子が集合しにくく活性点を保てる。

380度C、10気圧でのアンモニア合成と常温2気圧での停止を7回繰り返しても活性は落ちなかった。380度C、51気圧では平衡濃度に近い15%のアンモニアが得られた。

現行のハーバーボッシュ法は400―600度Cで100―300気圧の高温高圧でアンモニアを合成する。発熱反応のため圧力を低減すると消費エネルギーやコストを下げられる。

日刊工業新聞2022年7月27日

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