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日産の財務体質改善も…課題として残る自動車事業の赤字

日産自動車の財務体質が、業績とともに改善している。2022年3月期連結決算は、当期損益が2155億円の黒字(前期は4486億円の赤字)となり、3年ぶりに黒字転換した。コロナ禍で新車販売が伸び悩む中、収益性を高め、負債も着実に減らした。今後は販売金融事業(車のローンやリース事業)を除いた本業の自動車事業を黒字化し、車の電動化など成長投資を加速できるかが課題となる。(西沢亮)

「強みに集中し、事業の質、財務基盤を強化する」。日産の内田誠社長は、20年3月期の当期損益が6712億円の巨額赤字になったと発表した20年5月の決算会見で、経営再建の方向性をこう示した。

ただコロナ禍や半導体など部品不足の影響は大きく、世界販売台数は20年3月期の493万台から、21年3月期は405万台、22年3月期は387万台と減少が続いた。一方、海外工場の閉鎖など構造改革を断行。売上高原価率を20年3月期の85・5%から22年3月期に83・9%に減らすなど、収益性を高めた。自己資本当期純利益率(ROE)は、20年3月期のマイナス14・3%から22年3月期にプラス5・1%に改善した。

負債では純有利子負債を20年3月期の約6兆4200億円から、22年3月期に約5兆5700億円まで削減。同負債が自己資本の何倍に当たるかを示す純負債資本倍率(ネットDEレシオ)は、20年3月期の1・5倍から22年3月期に1・1倍へと改善し、財務体質の健全化を図った。

ただ、トヨタ自動車やホンダの22年3月期のネットDEレシオはそれぞれ0・8培、0・4倍だった。異業種を含め競争が激化する電動化や自動運転といった次世代技術の開発を後押しするためにも、財務基盤のさらなる強化が求められる。

課題は自動車事業の黒字化だ。同事業は22年3月期まで3年連続で営業赤字が継続。北米を中心とした金融市況の好転などで堅調だった販売金融事業が赤字を穴埋めする状況が続く。

一方、自動車事業では「販売の量から質」への転換を推進。値引きに頼らず適正価格での販売が浸透し、新車の販売台数が減少する中でも売上高を伸ばすなど成果は出始めている。内田社長は「23年3月期に自動車事業の黒字化を狙っていく」としており、モノづくりの効率性や販売の質を落とさず、粘り強く収益を確保できるかが重要になりそうだ。

日刊工業新聞2022年7月26日

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