ニュースイッチ

2016年、ライオンは「超コンパクト洗剤」で攻める!濱逸夫社長インタビュー

粉洗剤から液体洗剤へのシフトが顕在化、海外構成比率高まる
2016年、ライオンは「超コンパクト洗剤」で攻める!濱逸夫社長インタビュー

濱逸夫社長

 ―経営環境についてどのように考えていますか。
 「マクロ経済全体では、中国経済の鈍化や米の利上げのなか国内景気は一喜一憂した。『アベノミクス』ではまだ本当に脱デフレに至っておらず、不安定な市場となったのが2015年だ」

 「日用品の国内マーケットはマクロ経済と関係なく『選択型消費』『訪日外国人消費』が市場の基調となった。ヘルスケアなどで付加価値の高い商品を選ぶ”選択型“の消費トレンドがここ2―3年続いている。訪日外国人も消費を刺激する面で非常にインパクトがあった」

 ―16年の新製品戦略と市場の動向は。
 「2月に『トップ』から超コンパクト衣料用液体洗剤『スーパーナノックス』を新発売し、大々的にプロモーションを行う。衣料用洗剤市場は大きく変わってきた。粉洗剤から液体洗剤へのシフトが顕在化し、液体洗剤の中でもレギュラータイプ、超コンパクトタイプ、ジェルタイプがある。市場が今後どのように構成されていくか。我々は超コンパクト液体洗剤が生活者にも環境にも最もメリットがあると考えている」

 「今回の新製品投入により、超コンパクト液体洗剤市場でプレゼンスを高める。いかに成長スピードを上げるかをチャレンジングにやっていく」

 ―15年の海外事業はアジア主要国の経済成長率を上回るレベルの売上伸長率でした。要因をどう分析しますか。
 「海外では中間所得層の増加が顕著で、高付加価値品など良い商品を買う動きがある。20年に売上高に占める海外構成比率を30%と計画していたが、間違いなくもっと早く達成する」

 「さらに高齢化社会が北東アジアや東南アジアを中心に拡大している。今後は日本に続き、アジアでヘルスケアマーケットが拡大する。我々が強い市場だ」

 ―中国では営業拠点がある北京や上海など沿岸部から、どのように内陸部へ攻勢をかけますか。
 「ひとつはEC(電子商取引)を大きく伸ばす。店頭販売からECに移行している動きがあるが、店頭販売は所得など地域特性に応じた営業戦略を打ち出すことで、ライオン商品の販売拡大に向けて緻密にやっていく」

【記者の目/アジアで取り込む施策に期待】
ライオンはアジアを中心に9カ国で海外事業を展開している。中国経済の変調の世界経済や新興国への影響が懸念されるなか、濱社長は一貫した成長戦略を進める構えだ。日本製ブランドへの人気や、高齢化社会のニーズをアジア各国で最大限に取り込む施策に期待したい。
(文=山下絵梨)
日刊工業新聞2016年1月15日 建設・エネルギー・生活2面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ここ数年で衣料用洗剤は大幅にバリエーションが増えました。中国では「EC(電子商取引)を大きく伸ばす」と話している通り、1月に中国のアリババグループが運営する消費者向け越境ECサイト「天猫国際(Tモール グローバル)」に出店予定。

編集部のおすすめ