ソフトバンクなど異業種けん引の「FIT」開始10年、再エネ普及は孫さんの提案が効いた!?
再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度(FIT)は開始から1日で10年を迎えた。電力の異業種がFITを活用して再生エネの導入をけん引しており、オリックスは太陽光発電だけで約93万キロワットの発電設備を全国各地に設置した。ソフトバンクグループは太陽光発電と風力発電を合わせて約72万キロワット導入した。この2社だけで、日本全体の再生エネ発電量の1%近くを供給するまでに拡大した。(編集委員・松木喬)
オリックスは大規模太陽光発電所(メガソーラー)を約76万キロワット、流通施設などの屋根置きを約17万キロワット整備した。メガソーラーからは年8億3900万キロワット時、屋根置きからは年1億8500万キロワット時の電気を生みだした。
また、ソフトバンクグループは子会社のSBエナジー(東京都港区)が再生エネ事業を展開する。メガソーラーは全国47カ所に約66万キロワット、風力発電は2カ所に約5万キロワットを開発した。メガソーラーは年7億893万キロワット時、風力は年1億233万キロワット時を発電する。
再生エネは20年度に日本全体で1983億キロワット時の電気を供給した。オリックスとSBエナジーの合計18億キロワット時は、ほぼ1%に相当した。異業種から参入した2社は、二酸化炭素(CO2)を排出しない電気の供給拡大に貢献している。
京セラ、累積7.7億kW時発電
また、京セラが主導して鹿児島市に建設した7万キロワットのメガソーラーは、13年11月の稼働から累積7億7000万キロワット時を発電した。完成当時、日本最大のメガソーラーだったこともあり、累計4万8000人が見学に訪れ、地元経済にも貢献した。
FITは太陽光や風力、地熱、水力、地熱、バイオマスの普及を後押しする仕組み。発電した電気を長期間、決まった価格で電力会社が買い取ることを保証したことで、異業種から多くの企業が参入した。経済産業省によると21年末までに6554万キロワットの再生エネ設備が新規に稼働した。