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22年版通商白書が指摘するコロナ禍が加速させた四つの潮流

経済産業省は、2022年版通商白書を公表した。ロシアによるウクライナ侵攻など地政学リスクが増大していることや、気候変動・人権など「共通価値」を重視する動きが広がっていることを踏まえ、企業は経済安全保障や共通価値を付加価値に転換するビジネスモデルを実現する必要があるとした。企業を後押しするために、政府が国際ルール形成に取り組む重要性を強調した。

コロナ禍をきっかけに、デジタル変革(DX)、地政学リスクの増大、共通価値の重視、政府の産業政策シフトといったグローバルの潮流が加速していると指摘。これら四つの潮流が「企業経営に大きな不確実性を生み出すとともに、企業の付加価値の源泉に変化をもたらしている」とした。

四つの潮流を踏まえ、デジタル化による企業変革、政府が創出する需要の取り込み、経済安全保障や共通価値を付加価値に転換するビジネスモデルへと変革し、「付加価値創造型のビジネスモデル・産業構造」を実現することが必要だとした。

また政府として、先進7カ国(G7)の議論に初期段階から参加することの重要性に言及。市場支配力や国際ルール形成力に優れる欧米市場で、日本企業が社会実装に取り組める環境を整備することが求められるとの認識を示した。

四つの潮流のうち、地政学リスクと共通価値については、各国政府の国際ルール形成や政策ポジションの違いにより、ルールのブロック化が発生し、市場のブロック化も進行しているという。

日刊工業新聞2022年6月29日

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