次世代太陽電池実用化へ一歩、東大が希少金属使わない「ペロブスカイト」で高耐久性を実証
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻の瀬川浩司教授と東大先端科学技術研究センターの別所毅隆特任講師らは、次世代太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」で高い熱耐久性を実証した。高価な希少金属を使わず、汎用の金属元素であるカリウムを添加したペロブスカイトが、85℃で1万時間以上の安定性を持つことを証明した。同電池は軽量で柔軟な低コストの太陽電池として期待されているが、実用化に向けて耐久性の向上が課題になっている。
東大の瀬川教授らはセシウムやルビジウムなどの希少金属を一切使わず、カリウムを使ったペロブスカイト太陽電池の研究を推進しており、2017年には20.5%の高い変換効率を実現した。今回、カリウム添加ペロブスカイトについて、加熱中の劣化状態をリアルタイムに観察して得られた情報を解析し、寿命を評価した。その結果、85℃で1万時間以上加熱しても、ほとんど分解しないことを明らかにした。
ペロブスカイト太陽電池は、低コストかつ軽く柔軟な特徴によって耐荷重の低い屋根や壁面など、これまで太陽電池が設置できなかった場所に設置できる期待があり、政府は脱炭素化に向けたキー技術として研究開発を後押しする。積水化学や東芝など企業による実用化に向けた取り組みも活発になっている。
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