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動画撮影需要に照準、カメラ各社がミラーレス相次ぎ投入

動画撮影需要に照準、カメラ各社がミラーレス相次ぎ投入

動画撮影に適したミラーレスカメラが相次ぎ登場している(富士フイルムの「FUJIFILM X-H2S」)

国内カメラ各社がミラーレスカメラの新機種を相次いで投入している。ミラーレスカメラは一眼レフカメラと比べ小型化、軽量化を実現しやすい。こうした強みは携帯のしやすさにつながり、長時間カメラを持つ必要がある動画の撮影にも適する。近年高まる動画撮影の需要に注目する各社は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーやオートフォーカス(AF)性能を向上させて顧客の幅広い要望に応える。(阿部未沙子)

カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、4月のミラーレスカメラの出荷金額は前年同月比42・8%増の397億円となった。一方、一眼レフの出荷金額は同29・1%減の69億円となり、直近でもミラーレスカメラが市場をけん引していると言える。またデジタルコンテンツ協会(東京都千代田区)の調査では、2021年の動画配信市場規模を前年比14%増の4230億円と推計。26年には5250億円まで成長すると見込んでいる。

動画配信市場の拡大を踏まえ、各社は動画撮影に適したミラーレスカメラを相次ぎ投入している。キヤノンは「EOS R7」と「EOS R10」を6月下旬から順次発売する。AF性能に優れ、被写体を検出する機能を搭載。動く対象物の撮影に適する。また高画質な4K動画撮影を実現した。EOS R7には、35ミリフルサイズセンサーより小さいAPS―Cサイズで最大約3250万画素のCMOSセンサーを搭載する。

富士フイルムは「FUJIFILM X―H2S」を7月14日に発売する。新開発したイメージセンサーや高速画像処理エンジンを採用。4Kの解像度の画像を1秒間で120コマ記録した映像の動画撮影に対応している。山元正人取締役常務執行役員は「動画を撮影する人が増えている中で、(カメラの)技術も進化している」と胸を張る。

ファームウエア(カメラやレンズに組み込んだソフトウエア)の地道な更新も欠かせない。ニコンは21年に発売したフラッグシップ(旗艦)モデル「Z9」の新しいファームウエアを22年4月に公開。動画撮影を考慮した機能の追加やAF性能の強化を行った。

一方、スマートフォン内蔵のカメラの性能も高い。韓国サムスン電子の「ギャラクシー S22 ウルトラ SC―52C」のカメラは最大約1億800万画素。またソニーの「エクスペリア 10 Ⅳ SO―52C」は広角レンズに光学式手ぶれ補正を搭載する。スマホは従来、動画撮影を非常に手軽に行える利点がある。カメラ各社は画質などのデジカメの優位性を追求する姿勢が問われ続ける。

日刊工業新聞2022年6月14日

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