4トン級EVローラー商品化へ、酒井工業が「2号機」製作
酒井重工業はリチウムイオン電池で駆動する電気自動車(EV)式ローラーの2号機として、客先での利用を想定した機種を年内に製作する。完成済みの1号機は社内テスト用が主目的で、客先の利用を想定した作りになっていない。ローラーは地面を押し固める作業に用いる。2号機を実際の現場工事で実験的に利用してもらうことで、細かい操作性や使い勝手などを検証。改良に反映し、早期の商品化につなげる。
環境保護や二酸化炭素(CO2)排出削減の見地から、コマツや日立建機をはじめとする建設機械メーカー各社はEVショベルの開発を加速している。酒井重工業は主力製品のローラーで対応する。
酒井重工が開発を進めるEVローラーの大きさは4トンクラス。油圧ショベルと同様、ローラーも重量が大きいため、現在のリチウムイオン電池では稼働時間が短く、価格も通常車の数倍する。ただ、電池自体は高性能化や低価格化が進んでおり、将来新しい電池が登場した段階でそれに置き換えて実験を続けることも視野に入れる。
稼働時間のネックを解決するため、コマツはホンダの交換式バッテリーを活用した電動マイクロショベルを開発している。酒井重工の酒井一郎社長は「ローラーでもバッテリー交換方式が可能かどうか検討したが、重量が大きいので難しい。ただ関心はある」と話す。
日刊工業新聞2022年6月8日