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ドバイにまた“世界一”、水と海と空が一体化するスゴいスポット

ドバイにまた“世界一”、水と海と空が一体化するスゴいスポット

写真提供:ドバイ経済観光局

昨今のコロナ禍の中でも海外旅行がしやすい地域として注目を浴びる、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ。これから熱い夏の時期を迎えるが、“水と涼を感じる”3つのスポットを紹介する。

360度全方位、水と海と空が一体化する場所

世界一高いタワー、世界一水量の多い噴水、世界一深いプールなど、世界一が目白押しのドバイにて、またひとつ“世界一”のスポットが仲間入りした。

2021年11月にオープンした「AURA (オーラ)スカイプールラウンジ」は、 地上約200mの高さにある360度見渡せるプール。このような仕様が世界初というわけだ。

デッキから「パーム・ジュメイラ」を望む

ちなみに、シンガポールの有名ホテル「マリーナ・ベイサンズ」のインフィニティプールも地上 約200mの高さに設置されているが、こちらは360度全方位の景色を見渡すことができない。

AURAに話を戻そう。ロケーションは、ヤシの木の形をした人工島「パーム・ジュメイラ」の入り口近くの5つ星ホテル「ザ・セントレジス ドバイ ザ・パーム」(ザ・パームタワー)の50階。ホテルの1階からエレベーターに乗り、プールがあるフロアに出ると、見渡す限り美しいブルーの景色が広がる。インフィニティというのは「無限」を意味。プールの水盤と外の景色の境目を無くし、これら全てが一体化したようなつくりに。

筆者がAURAを訪れたのは4月下旬。気温は日中ともなれば40度近くまで上がるが、全ての方向に風が抜けていくため、とても快適。午前中は水温がやや冷たく感じるぐらいだった。水中に身を沈め、ユラユラたゆたっていると、あたかも天空の海にいるかのような錯覚に陥る。ドバイでは年間の降雨量が少ないので、地上200mに常時これだけ大量の水を循環させる技術力にも感動。

人気のコーナー。可能であればぜひデッキチェアの予約をしたい

手術前のドクターもプールでリラックス…

「世界一の高さを誇るタワーの『バージュ・カリファ』、7つ星ホテルといわれる『バージュ・アル・アラブ』、世界一の観覧車『エイン・ドバイ』など、方角によって見えるスポットや景色が変わってくるのが最大のポイントです。生バンドの演奏が入る曜日もあるので、賑やかに楽しめます。でも、賑やかなだけではなく、ここは心身がリラックスできる場所として認知されているようです。先日は手術前のドクターがこちらに来てプールサイドで精神統一している姿も見受けられました。緊張をほぐしていたのかもしれません」と語るのは、AURAの女性スタッフ。

あたり一面ブルーの世界もいいが、夕方から日没にかけてのピンク色、紫色、群青色と空の色が変わる“マジックアワー”もおすすめ。

誰もが撮影に夢中

プールのへりで寝そべっている女性、それを撮影する友人らしき人など、あまりの絶景ぶりに、老若男女を問わずスマホで撮影に夢中。一方では静かに読書をしたり、PCを持ち込んでマイペースに仕事をしたりしている人も。

できればプールサイドのデッキチェアを予約したいが、数ヶ月先まで予約でいっぱいだという。建物内部のラウンジ(Indoor Lounge Experience)であれば席が空いている可能性が高いので、そこでゆったりと過ごしてもいい。使用料金は150AED(約5,250円)から。

ドリンク、デザートを含む食事付きプランは350AED(約12,250円)

意外だったのは提供される食事の美味しさ。失礼ながら、こういったスポットでの食事の味はあまり期待できないイメージだが、エスニックテイストの焼き鳥がメインのボリュームのランチはなかなかのクオリティである。見て、味わって、聞いて…と五感をフルに使ってエンジョイしたいスポットだ。

水辺のモダンアートミュージアムで深呼吸

ドバイは雨がほとんど降らない砂漠地帯であるのは前述の通りだが、元々はアラビア湾に面した漁村であったため、海とは深い関係がある。その海から流れ込んでいる「ドバイ・クリーク」と呼ばれる入り江付近は、ドバイが誕生した地域として有名。その入江沿いに「ジャミール・アートセンター」という、中東初の現代美術館がある。中東、北アフリカ、トルコ以南の現代美術や文化遺産の保護などを目的に開館。2018年のオープニングでは、日本人のモダンアーティスト・塩田千春氏の展示も行われた。

2022年4月に展開されていた、ロシア人アーティスト「SUPER TAUS」によるビデオワーク

「現代美術は難解でよくわからない」という人もいるだろう。モダンアートを理解するのは難しくても、ここに足を運ぶ価値は十分にある。特別・常設の企画展の鑑賞以外にも見どころはたくさん。例えばドバイ・クリークを吹き抜けていく涼風を受けながらテラスでお茶をしたり、併設のレストランで上質なオーガニック素材で作られた料理に舌鼓を打ったり。また、ライブラリーには、中東をはじめとした世界の貴重な紙の資料等が収蔵されているので、時間があればぜひ立ちよってほしい。2023年には日本人アーティスト(詳細未定)の展示も予定している。

「ドバイ・クリーク」のそばのテラス

ラマダンなどイスラム特有の文化を知る!

アル・ファヒディ歴史地区にあるモスク

せっかくドバイまで来たのだから我々日本人には馴染みが薄い、イスラム教徒の生活や宗教観を知るのもいい。ドバイ・クリーク沿いの、アル・ファヒディ歴史地区にあるシェイク・モハメッド文化理解センター(SMCCU)を訪ねてみよう。

筆者が訪ねたのはイスラム教のラマダン(イスラム暦の9月。最も神聖な時期)。2022年は4月2日から5月1日までで、イスラム教徒の断食の義務として、日の出から日の入りまで水や食べ物を一切口にしない。

 

ラマダン期のSMCCUでは、日没後祈りを捧げた後「イフタール」という普段より豪華な食事を楽しめる。日中の断食状態から急に食事をとると健康に良くないので、まずはミルクや水を飲み、栄養価が高いデーツ(ナツメヤシ)を口にしてから自分の好きなものを食べる。サモサ(揚げもの)やビリヤニ(炊き込みご飯)などの日本人にも知られる料理や、ラマダンの時期の特別な料理も並ぶ。

断食明けのイフタール

食事を楽しんだらSMCCUの近隣にあるイスラム教寺院のモスクへ。祈りの大切さ、絶対唯一神アラーと信仰者との関係、そしてラマダンのこともガイドから語られる。断食は1ヶ月だけでなく、病気等で断食が困難であれば時期をずらしてもいいこと、子供は緩やかな断食でいいこと、ドバイの西の首長国アブダビでは日の入り時刻が微妙にずれるためか、祈りの時間もイフタールの開始時期も少しだけ遅れることなど、興味深い話が続く。

大切なのは断食だけでなく、普段よりも熱心に祈りを捧げてコーラン(イスラム経典)を読み、善行を積んで神に近づくこと。そしてラマダン明けにはまた新しい人生の始まりを迎えるのが、最も重要なことだとも知る。

モスク内でのレクチャー

ラマダン時期は、いつもとは違うドバイの姿を垣間見られるのだ。

日本への帰国にはPCR検査陰性証明がマスト

ドバイの入国時にPCR検査は不要だが、日本への帰国には検査が必要。出国の72時間前までに日本政府指定の書式に「陰性」であること、また「どんな方法でPCR 検査を受けたか」という英語のテキストが必須だ(2022年5月現在)。これらの情報がきちんと掲載されていないと、日本の空港の検疫で足止めをくらい、出発地の国に帰されてしまったというケースも聞く。こうならないためにも、日本の会社がサービスを代行するPCR検査を申し込めばトラブルはないだろう。

帰国の際には日本政府指定書式の証明書を必携のこと

筆者の場合は、T トラベル(運営:アーク・スリー・インターナショナル)という会社のサービスを使用した。宿泊先のホテルに専門の係員が出向き検査(鼻の奥をこする方式)を行うと、24時間以内に陰性か陽性かの結果がメールで送られてくる。その後英語とアラビア語の政府指定書式の証明書が送られてくるので、それを必ずプリントアウトして帰国すること(宿泊先のホテルのフロントデスクに転送すれば、大概プリントアウトしてくれる)。何かトラブルが起こった際には日本語での対応が可能だ。(東野りか)

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