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低頻度の異常を高精度検出するAI、東芝がインフラ点検向け実用化へ

東芝は、鉄塔や橋梁などのインフラ点検業務において、対象となるインフラ施設の数枚の正常画像と点検画像から、異常や異常につながる箇所を高精度に検出する人工知能(AI)技術を開発した。立ち入りがしにくい施設などはAIに学習させる正常画像を大量に収集するのが難しいと考えられるが、開発した手法を使えば発生頻度が少ない異常でも高精度に検出できる。2023年度中の実用化を目指す。

公開されているデータを使って評価した結果、91・7%の検出精度を達成した。構造物などの画像を大量に深層学習(ディープラーニング)した既存のデータ(深層特徴量)を活用し、正常画像の少なさを補う。画像の見え方の違いによる誤った検出結果(過検出)が発生するパターンを正常画像から抽出し、過検出も抑制する。

山岳地の鉄塔、橋梁の高架下、洋上風力発電設備、太陽光パネルの裏面など、点検作業者が入りにくいインフラ施設は、AIの学習のために大量の画像データを収集することが難しく、点検作業の自動化やデジタル化の課題となっている。新手法が実用化すればインフラ施設の点検がしやすくなる。水漏れや油漏れ、落下物、異物の付着、部品の脱落といった発生頻度が低い未学習の異常でも検出精度を向上できる。

日刊工業新聞2022年5月23日

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