「新しい材料・技術に取り組みたい」、住宅構造を研究するリケジョのやりがい
積水ハウスの片岡奈々美(33)さんは、住宅の構造材、内外装の性能検証など基礎研究を通じて、建物の安心・安全を支える。「人の暮らしに関わる責任が大きい仕事」にやりがいを感じる。より安心・快適な住宅の進化へ向けて、「新しい材料・技術の研究に取り組みたい」と思いは強い。
幼少期に家族で住宅展示場に訪れた際、すごくわくわくした思い出が、住宅に興味をもったきっかけでした。また、モノづくりや数学が好きで、建築の設計や構造の研究に興味を持ちました。
京都工芸繊維大学造形工学部では住宅の設計、京都大学大学院工学研究科建築学専攻では、多段免震建物の研究をしていました。現在の仕事で住宅空間の視点から構造体を考えるときなど、構造、設計両方の経験が役に立っていると感じています。
現在の仕事は、建物の安全性に関わる住宅の構造研究がメーンです。その一つとして、耐震の技術に役立てられる新しい構造材を研究するプロジェクトに携わっています。日本には現在の構造材以外にも良い材料がありながら、法律の壁で使えない材料がたくさんあります。どのような材料、設計、性能であれば取り入れられるのかなど、実験や検証を重ねています。
入社から携わって8年目ですが、ようやく形が見えてきました。私の研究は長期スパンのもので数年を要し、想定通りに進まないことが大半です。そんなとき、「めげずにコツコツと取り組む」「本質を見失わず興味をもって取り組み続ける」ことを大事にしています。失敗が全て成功につながっていたなと実感したとき達成感を感じます。
今後の目標は、3Dプリンターなど、法律上現在は使えない技術や材料をいかに取り入れていくか、地道に研究していきたいです。
最近はガーデニングにはまっています。研究とは違い、日々成長で変化する植物を見るのが楽しいのかもしれません。(文=池知恵、写真=田山浩一)