2年前より26%高い…「MLCC」平均輸出単価上昇の背景

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円安がMLCC輸出額を実態以上に押し上げる一因となっている

主要な電子部品の一つである積層セラミックコンデンサー(MLCC)の平均輸出単価が上昇している。財務省の貿易統計から算出した今年3月の平均輸出単価は1個当たり約0・63円。2年前の同じ時期に比べ約26%高い。自動車や産業機械向けの高単価なMLCCの出荷数が増えていることや、年明け以降の急速な円安が背景にあるとみられる。(山田邦和)

2020年1月に約0・51円だったMLCC1個当たりの平均輸出価格は、同年6月以降、0・4円台に落ち込んだが、21年初頭から上昇基調に反転。その後は現在までほぼ右肩上がりで推移し、21年12月以降は0・6円を上回っている。

一方、輸出数量(個数)もほぼ同時期の20年10月から回復に転じ、前年同月比で10%台―30%台の伸びを示してきた。だが1年後の21年10月に前年を19・2%割り込むと、その後は前年同月比マイナスが続いている。

輸出数量が落ちているのに1個当たりの平均輸出単価が上がっている背景について、業界関係者は「自動車や産業機械などに使われる高単価で大型なMLCCの出荷数が増え、平均単価を押し上げている」と指摘する。電気をためたり放出したりすることで電子回路の電気を一定に保つMLCCは、スマートフォン(スマホ)やパソコンから自動車の自動運転装置など、幅広い電子機器に使われる。20年後半から世界経済の回復が進み、スマホや自動車など幅広い最終製品で生産が立ち上がったため、MLCCの輸出数量も増えた。

だが21年後半以降、スマホ向け需要の減速感が強まった。特に落ち込みが大きかったのが中華系スマホメーカー向けだ。米政府が華為技術(ファーウェイ)への制裁を強化したことで、ファーウェイ分のシェアを奪おうと他の中華系スマホメーカーは強気な生産計画を発表。MLCCを含む部品も在庫を積み増していたが、東南アジアを中心にロックダウン(都市封鎖)の動きが広がり、21年夏ごろからは中華系スマホ需要に陰りが見え始めた。新製品が発表されても消費者の買い替え需要は盛り上がりに欠け、9月ごろからは本格的に在庫調整の動きが広がった。日本からのMLCCの輸出の40%近くが中国向け(21年度、数量ベース)。中華系メーカーの生産落ち込みの影響を受け、MLCC輸出量が減少したもようだ。

一方、自動車向けは東南アジアのロックダウンの影響を受けたものの、中華系スマホほどには落ち込まなかった。自動車の電装化で大容量のMLCCが求められる車載用電子制御ユニット(ECU)周辺などでの需要拡大を見込み、電子部品各社が新製品の開発に力を入れていることもあり、車載向けの増加が出荷金額を押し上げる一因となったと見られる。MLCC1個当たりの平均重量からも、車載向けが増えている様子が伺える。20年3月の1個当たり平均重量は約4・3グラムだったのに対し、22年3月は同約5グラムと、16%増加した。

MLCC搭載数はスマホ上位機種でも1台当たり1000―1200個なのに対し、自動車は同4000―5000個。ただスマホの販売台数の方が自動車より多いため、MLCCの輸出も数量を中心にスマホ向け需要の影響を受けやすい状態が続いてきたが、ここに来て車載用の存在感が高まっている。

為替が3月に一時1ドル=125円台の円安水準に振れたことも平均輸出価格の上昇に寄与したと見られる。輸出用のMLCCはドル建てで取引されるケースも多く、円安が輸出額を実態以上に押し上げる一因となっている。

直近では中国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、上海などのロックダウンが長期化。生産調整を実施する自動車メーカーが相次ぐ。長期化すれば、今後のMLCC輸出にも影響が出てくる可能性もある。

日刊工業新聞2022年5月6日

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