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キヤノンとリコーの子会社が電力販売へ参入。事務機勢がオフィスルートの強み生かす

キヤノンMJは大手電力よりも2―5%安く。リコージャパンは省エネ機器とセットで
 キヤノンマーケティングジャパン(MJ)とリコージャパン(東京都港区)が相次いで電力販売事業に参入した。キヤノンMJは60件の顧客に電力販売を始めた。リコージャパンは2016年1月から販売地域を広げて事業を本格化する。両社とも事務機の営業で築いたネットワークを使い、企業向けに電力を販売する。省エネルギー化を支援するサービス事業も提案し、新規顧客を開拓する。

 キヤノンMJは契約電力が500キロワット以下の東京電力管内の企業に電力を販売している。60件の契約先への電力供給の合計は2万キロワット以上。電力を商品の一つに加え、キヤノン製複合機を使う事務所以外にも営業する。

 中小企業や医療・福祉施設への省エネ支援サービス事業との相乗効果も狙う。大手電力よりも2―5%安く提案し、光熱費の削減に貢献する。

 現在、火力発電から購入した電力を販売しているが、再生可能エネルギーで発電した電力の調達も検討し、二酸化炭素(CO2)排出の少ない電力販売も推進する。

 リコージャパンは東電と関西電力の管内で販売を始めた。1月から東北、中部、九州の各電力管内でも販売する。エネルギー管理システムやLED照明など省エネ機器も合わせて提案する。

 16年4月の電力小売り完全自由化が迫り、主にガス会社が電力販売に名乗りを上げている。キヤノンMJ、リコージャパンの事務機メーカー系販売会社は企業と日常的な接点があり、電力も提案しやすい。営業・保守の拠点も各地にあり、既存ネットワークも活用できる。
日刊工業新聞2015年12月30日エネルギー面
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
オフィスにコピー用紙やインク・トナーを届けてくれる事務機メーカーのサービスマンが、電力の購入も勧めてくる時代になりました。日常的に企業と接点がある企業は、提案もしやすいです。4月から市場が解放される家庭向けも同じと思います。

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