ニュースイッチ

「レクサス」初のEV専用車、“本丸”中・高所得者層を捉えられるか

「レクサス」初のEV専用車、“本丸”中・高所得者層を捉えられるか

トヨタの高級車ブランド「レクサス」初のEV専用車「RZ」

トヨタ自動車は20日、高級車ブランド「レクサス」初の電気自動車(EV)専用車となるスポーツ多目的車(SUV)「RZ」の詳細を発表した。今冬以降、欧米や中国、日本など約50の国と地域に順次投入する。5月発売のトヨタブランドのEV「bZ4X」と同じプラットフォーム(車台)を採用するが、操作性や駆動力といった上質な走行性能などで差別化する。現状のEV顧客の“本丸”である中・高所得者層をとらえられるかがカギだ。(名古屋・政年佐貴恵)

トヨタはレクサスで2030年までに全車型でEVをそろえ、35年にはグローバルでのEV販売比率を100%にする方針だ。RZは「EV専用ブランド」として最初のモデルとなる。20日のオンライン発表会で佐藤恒治執行役員は「スポーツ車で培った走りの味を継承し他モデルにも展開することで、レクサスをEVブランドに進化させる」と話した。

RZの電池容量は71・4キロワット時で、航続距離は約450キロメートル。EV専用車台や車載電池、駆動モジュールの「eアクスル」など主な基本構成はbZ4Xと共通だが、独自の4輪駆動システムと高出力モーターにより応答性や走行性能を高めた。また電気信号でタイヤの角度を制御する「ステアバイワイヤ」を全車にオプション搭載。異形ハンドルを採用し、ハンドルを持ち替えずに運転操作が可能だ。

全世界で年3万3000台の販売を計画し、中国では半分以上の1万8000台の目標を掲げる。価格や販売方法は未定だが「顧客の不安解消と脱炭素、電池再利用などの観点を踏まえながら、最適な販売方法を検討する」(トヨタ)という。

車両価格が高くなりがちなEVは、中・高所得者層が現状の主なユーザーだ。高級車ブランドを中心に500万円を超える価格帯の市場は広がっており、RZはそのど真ん中を攻め「変革の起点」(佐藤執行役員)となるモデルだ。今後のレクサスブランドの方向性を示唆しそうだ。

日刊工業新聞2022年4月21日

編集部のおすすめ