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トピー工業社長・高松信彦氏/ライフサイクル考えやすい

虎視 勝ち筋探る車部品#15

―鉄スクラップ価格などが高騰してます。鉄鋼事業への影響は。  「読み切れない。従来経験したことのない状況で事業を進めている」

―株式市場からの要請が強いサステナビリティー(持続可能性)の取り組みは。  「当社はスクラップの収集から分別、リサイクルまで手がけている。スクラップを主原料にスチールを作って、それを材料にホイールなどを作っている。それがまたスクラップとして回収される。製品のライフサイクルを考えやすい会社だ。明海リサイクルセンター(愛知県豊橋市)の増強もしていきたい」

―自動車ホイール事業では工場を集約します。  「乗用車用ホイールはスチール製の国内シェアは過半だ。一方、市場が伸びているアルミニウム製のシェアはまだ約2割で課題。電動化で軽量化が求められる中、スチール製は(供給能力が需要を上回るため)構造改革を行った」

―今後のスチール製の需要動向は。  「完全にアルミ製に切り替わることはない。少なくともトラック系はスチール製だ。米国ではピックアップトラック系はスチール製が根強い。16―15インチより小さいホイールはアルミ製よりスチール製の方が軽い。そういった特性もうまく生かす必要がある。またカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の観点ではスチール製の方が環境負荷が低い」

【記者の目/次期中計、収益向上狙う】  2021年度は中期経営計画の最終年度だった。新型コロナウイルス感染症拡大などの影響で業績目標の達成は難しくなった。ただ構造改革による国内生産の効率化や海外拠点の充実は進めてきた。工場から取得したデータを一元管理できる体制も整えた。次期中計では、それらの施策をどう収益の向上につなげるかが問われる。(日下宗大)

日刊工業新聞2022年3月1日

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