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エイチワン社長・金田敦氏/車体1台分を設計目標に

虎視 勝ち筋探る車部品#13

―収益力の強化が課題です。
 「ホンダ向け事業を手がける関東地区の工場は、2021年までに固定費削減や生産性向上の効果がかなり上がった。21年に新設した豊後高田工場(大分県豊後高田市)の採算性も早く上げたい。ダイハツ九州からの受注が好調で、収益の柱になればと期待している。これらの取り組みを22年は海外拠点にも広げたい。特に北米事業を強化する。労務費が上がっており、省人化を進める。検査を自動化し品質の安定にもつなげたい」

―開発や生産技術の磨き上げにも取り組みます。
 「30年には部品単体だけでなく車体1台分の設計ができる実力を備えるのが目標だ。要素技術に関しても取り組んでいる。燃料電池車(FCV)向けセパレーターの研究開発も10年かけて取り組み、モノになった。これらを支える人材の育成や採用もさらに進める」

―中国での電気自動車(EV)案件の受注拡大を目指し広州に新会社を設立しました。
 「現地の新興EVメーカー、小鵬汽車(シャオペン)との取引が拡大しており、同社以外の案件も増えている。金型などの生産技術力を生かし、提案していく」

―車分野以外の開拓にも取り組みます。
 「社内でアイデアを募っている。自動車部品や骨格部品に特化するだけでは得られない知見を入れたい。異業種と協業するほか、産学連携にも参画する」

【記者の目/個性持つ人材獲得も推進】
 21年10月に開発と営業の機能を統合するなど、新規顧客獲得や原価低減に向けた手を着々と打っている。とがった個性を持つ人材の獲得も積極化し、新事業の創出につなげる方針だ。エイチワンの主力である車体骨格部品自体は電動化の時代においても必要な製品だが、それに甘えることなく、挑戦する姿勢を貫く。(江上佑美子)

日刊工業新聞2022年2月24日

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