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パイオラックス社長・島津幸彦氏/CASE部品開発に注力

虎視 勝ち筋探る車部品(11)

―コロナ禍の影響が長引いています。
 「半導体供給不足に伴う自動車の生産制約、原材料価格の高騰、コンテナ不足に伴う国際物流費の上昇などのリスクが業績に大きく影響している。2022年度も原材料や物流の問題が良くなる見込みはない。半導体は車メーカー各社が21年度より若干の改善を予想しており、上向くと思うが、問題前の水準には戻らないと見ている」

―車各社がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)関連の取り組みを加速しています。対応は。
 「燃料タンク向け部品など電動化で需要が減少する製品が売上高の2―3割を占める。強い危機感があり、特に電動駆動モジュール『eアクスル』、電池、先進運転支援システム(ADAS)向け部品の開発に力を入れている。現在、担当者は既存の部品開発を兼務しているが、22年度から担当の専任化や組織化を含めた対応の強化を検討している」

―栃木県真岡市に新工場を建設し、23年度に本格稼働させます。どう活用しますか。
 「主力の開閉機構部品や樹脂成形部品以外に、CASE対応の新たな部品の生産も手がけたい。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)、太陽光発電設備を導入し、生産性を現状の2倍に高め、環境にも配慮した次世代型工場にする。60億円の投資は当社にとって大きく失敗はできない」

【記者の目/3社連合内の取引拡大】
 パイオラックスは電気自動車(EV)向けに電池の部品の開発などに力を入れる。主要取引先の日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の企業連合は日本など3カ国でEV用電池サプライヤーの共通化を決め連携を強化する。パイオラックスにとっては日産向け電池部品の受注などを機に、連合内での取引拡大が期待される。(西沢亮)

日刊工業新聞2022年2月21日

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