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河西工業社長・渡辺邦幸氏/内装品に経営資源集中

虎視 勝ち筋探る車部品#10

―半導体など部品調達の停滞に伴う自動車の生産制約が続いています。
 「日米欧では計画生産に則って部品が流通しており、例えば完成車メーカーから提示された数カ月前の生産計画に応じて、部材を発注するとその通り届く。人員を含めた生産体制も計画通り整えるが、実際の生産量は計画に届かない傾向が続いている。現実の生産状況に合わせた人員や調達体制への変更を含め、今後の対応について一部の車メーカーと話し合いを始めた」

―2022年3月期連結業績予想で3期連続の当期赤字を見込んでいます。
 「主力のドアトリムなど自動車内装部品に経営資源を集め、強みとして事業を維持することが重要だと思っている。事業地域では日米中に集中し、中でも売上高の約7割を占める日米を軸に経営する。また取引先も日産自動車など国内の大手完成車メーカーを中心に展開していく」

―地域単位の運営体制への移行を検討しています。
 「北米地域では21年までに中型以下の射出成形機で製造する部品を米国から賃金の安いメキシコに移管し、人手に頼る労働集約的な工程をすべてシフトした。移管で生まれた余剰スペースを生かせるよう、拠点の統廃合を含めた検討も進める。この経験を生かして日本とタイなどの東南アジア地域でも同様の取り組みを進め、固定費の抜本的な見直しなどに取り組んでいく」

【記者の目/逆風に備え事業選択】
 2月中に2025年3月期までの中期経営計画の発表を予定する。一定のシェアがある強い部品、河西工業にとって強くなくてはいけない部品に開発資源を集中するのが大きな方向性だ。自動車内装部品といった強みの商品、地域、顧客に集中して事業の選択を進め、車の生産制約や原材料価格の高騰などの逆風に備える。(西沢亮)

日刊工業新聞2022年2月17日

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