大豊工業社長・杉原功一氏/ダイカスト事業を拡充
虎視 勝ち筋探る車部品#09
―2021年度は25年に向けた新経営ビジョンをスタートしました。
「21年6月に(軸受など)既存事業を深化させるため、開発設計部署を集約した。既存事業の稼ぐ力を向上させたい。また新たな製品開発に取り組む『G製品開発部』を新設した」
―G製品開発部ではどんなことに取り組みますか。
「当社と子会社の日本ガスケット(愛知県豊田市)の先行開発機能を集約した。モノづくりの要素技術を生かした電動化対応の新製品の開発に取り組む。自動車関連だけに限らない製品開発も視野に入れる」
―電動化対応ではハイブリッド車(HV)向けインバーターケースを量産化しました。今後は。
「ダイカスト事業を強化する。当面はインバーターの需要は広がる。競争は激しいが、実力を磨いていく。21年6月にダイカスト事業本部を設け、営業、設計、生産まで一気通貫で対応できるようにした。すでに短い納期で新ラインの立ち上げに対応し顧客からの信頼は上がっている」
―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応での取り組みは。
「活動は加速しなければならないが、コスト高になってもいけない。どんなやり方で二酸化炭素(CO2)を削減するか検討する部署として環境部を22年1月に新設した。まずロードマップづくりを考えていきたい」
【記者の目/既存・新規、バランス重要】
大豊工業が次なる成長を実現するためには、既存事業の基盤強化、新製品開発という二つのバランスをいかに取るかが重要になる。軸受といった既存事業は生産性向上などの取り組みで稼ぐ力を高める。その既存事業で創出した経営リソースを電動化など新分野の開発に投入する。こういった好循環を生み出せるかが問われる。(名古屋・山岸渉)
日刊工業新聞2022年2月15日