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東海理化社長・二之夕裕美氏/シフトレバー 世界一に

虎視 勝ち筋探る車部品#08

―2021年度は25―30年に向けた経営ビジョンを示しました。
 「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)、新規事業などでは何かしらのスタートを切れた。ただ思ったより加速できなかった。22年はどう加速させるかだ。電動化や自動運転に関わる製品も強化したい」

―トヨタ自動車が電気自動車(EV)の販売目標を引き上げました。
 「EVだと(得意の)シフトレバーの形がボタンなどに変わる。きちんと提案する。(機械でなく電気信号で制御する)『シフトバイワイヤ』技術を活用したシフトレバーで世界トップシェアを取りたい。トヨタ以外の自動車メーカーにも拡販したい。開発と営業、マーケティングが一体で動けるよう事業部制を見直した」

―カーボンニュートラル対応では30年までに13年度比6割以上の二酸化炭素(CO2)削減が目標です。
 「30年目標は達成のめどが付いている。再生可能エネルギーでは(遠隔地の専用発電設備から電力供給を受ける)『オフサイトPPA(電力購入契約)』を拡大する。30年以降は対応が難しい。人工光合成の技術開発などに期待する」

―新規事業関連では地域貢献活動を進めています。今後は。
 「本社のある愛知県大口町で農業を始める。障がい者と耕作放棄地で農作物を生産し、当社の食堂や同町のスーパーマーケットなどに供給したい」

【記者の目/受け身脱却 新事業展開】
 東海理化は福島県会津若松市で、地域課題解決を支援する新規事業を展開する。変わろうとする同社の姿を顕著に示す事例だ。一般的に自動車部品メーカーは受け身であり、同社もその例外ではなかったが、新規事業は能動的に動くための基盤になる。これに以前からのモノづくり力を合わせれば、車業界の大変革期を生き抜くための糧になる。(名古屋・山岸渉)

日刊工業新聞2022年2月10日

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