小糸製作所社長・加藤充明氏/センサー、第2の柱に育成
「(主力製品の)照明部品自体は電動化で大きく変わる訳ではないが、省電力がキーワードの一つになる。そのため発光ダイオード(LED)を用い効率を追求する。また筐体の軽量化に向けた技術開発も必要になってくる」
「CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)領域では高性能センサー『LiDAR(ライダー)』の量産を2023年に始める。(出資先のベンチャー企業)米セプトンテクノロジーズとの連携が開発の中核になる。センサーを第2の柱にしたい。ヘッドライトの中にセンサーを入れ込むといったことができれば1番良いが、センサー単体でも販売できる体制にしていきたい」
―天候の影響を受けにくいカメラの量産も目指しています。
「しばらくは自動運転よりも先進運転支援システム(ADAS)の搭載車が中心になるだろう。このカメラを採用すれば、ADASの対象物を検知する能力を高められる。世の中の動きに追いつけるよう、技術開発を進めている」
―自動車メーカーの挽回生産に向けた対応は。
「人手や設備が足りないということがないよう、(当社の)サプライヤーとの連携を強めている。当社でも間接人員を現場に配置したり、工場間で従業員を融通したりということを必死になってやっている」
―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への対応も課題です。
「当社工場の二酸化炭素(CO2)排出量を30年度に13年度比50%削減する目標を定めた。1月に専門組織を設けた。目標達成に向けた取り組みや、(サプライチェーン〈供給網〉全体を対象にした)『スコープ3』の対応について検討する」
「CO2の排出量の7割は成形、表面処理、組み立ての工程が占める。既に機械を油圧式から電動式に切り替えたり、工程を統合して排出量を削減したりしている。目標達成に向けてかなりの設備投資が必要。他社と連携して太陽光パネルを設けるといったことも考えている。競争力を高める投資とCO2排出削減につながる投資を両立しないといけない」
【記者の目/飛躍に向けて手を緩めず】
次の事業の柱を構築するため、ベンチャー企業との提携やシリコンバレーでの拠点設置などを進めてきた。「23年の量産開始でセンサーメーカーとして認知されれば、完成車メーカーにもっとアプローチできる」と加藤充明社長は意気込む。半導体不足などで厳しい状況が続く中、飛躍に向けた手は緩めていない。(江上佑美子)