豊田合成社長・小山享氏/リサイクル材の活用重視
―新型コロナウイルス感染再拡大や半導体不足などの不透明感が続いています。
「当面はこうした状況に対応しなければいけない。ただ(自動車の)バックオーダーは多い。新型コロナなどのリスクはあるが、解消されていけば、2022年は本格的に回復する年になるだろう。課題はグローバルで人員がタイトなことだ。デジタル変革(DX)などで、改善を進めている」
―30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比半減する目標を掲げました。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)対応で力を入れる点は。
「当社は樹脂とゴムを使う製品が多く、CO2排出の割合の多くを占める。(競合と)同じ製品でも生産時にCO2排出が少ないといった競争力の高い製品をどう開発していくかが重要だ。森町工場(静岡県森町)では(ゴムと金属で構成する部品『ウェザーストリップ』のリサイクル専用施設)『サーキュラバーステーション』を設けた。材料の再利用だけでなく、リサイクル材をうまく使いこなす技術の開発も重要になる」
―主要顧客のトヨタ自動車が30年の電気自動車(EV)販売目標を350万台に引き上げました。対応は。
「仕事のスピードを上げる必要がある。手がける内外装の部品はカーボンニュートラルや電動化で様変わりする。例えばEVではラジエーターグリルはエンジンを冷却するための穴が要らなくなる。EV向けとハイブリッド(HV)向けなどと両面で対応しないといけない。特に25年以降は(自動車メーカーが)EV向け部品の調達を増やす。さまざまな対応製品を完成させ準備を進める」
―前会長の宮崎直樹取締役がトヨタ紡織の副会長を兼任しています。連携強化にどう取り組みますか。
「樹脂のリサイクルなどで協業できないか勉強している段階だ。まずは当社の(カーボンニュートラルなどの具体的な)シナリオができないといけない。22年はシナリオ作りに取り組む。数年後にはビジネスや成果につなげたい。カーボンニュートラルはトヨタ紡織だけでなく、多様な企業と連携して取り組む必要がある」
【記者の目/脱炭素・電動化、重点課題に】
豊田合成は25年度までの中期経営計画に向けて22年はスパートをかける年と位置付ける。重点課題はカーボンニュートラルや電動化だ。同社の仕入れ先を含めたサプライチェーン(供給網)全体で環境対応についてより密に情報共有することや、サプライヤーへの技術支援といった施策の重要性が増す。(名古屋・山岸渉)