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曙ブレーキ工業社長・宮地康弘氏/高性能ブレーキに照準

虎視 勝ち筋探る車部品#17

―CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の潮流で自動車の構造に変化が見られます。
 「電気自動車(EV)には、回生ブレーキ機能があるので、従来のブレーキを使う回数は減ると言われている。しかし、EVは車両は重くなりトルクも上がる。緊急時にこうした特徴を持つEVを止めるため、ブレーキには高い制動力が求められ、高性能化すると考えている」

―新商品、新規顧客、新市場の開拓に力を入れています。
 「中国では事業基盤となる日系完成車メーカーとの取引を拡大しながら、中国資本の車メーカーの受注活動も積極化する。中資系メーカーは既存の日米欧の車メーカーと比べ開発期間が短いのが特徴。シミュレーション技術の活用などで対応を強化した。スポーツ車などで複数のピストンを採用した高性能ブレーキを中心に受注が拡大している。今後はEVなど電動車の需要が見込まれる。高性能ブレーキを軸に新興メーカーとの取引も広げていきたい」

―2024年6月までの事業再生計画の進展はいかがですか。
 「コロナ禍の影響などもあり再生計画で約束した収益を達成できていない。日本では車向けブレーキと関連部品を手がける国内主要4工場の生産品目を再編し、専門工場化する取り組みを22年内にも完了する。こうした施策を前倒しで進め、コスト削減を徹底して計画をやりきりたい」

【記者の目/計画断行へ 指導力必須】
 コロナ禍の厳しい環境の中、新規開拓による成長と、生産能力の最適化といった難しいかじ取りが求められる。今後はフランスでの1工場閉鎖や、20年に2工場を閉鎖した北米事業の収益安定化も課題になる。利益が思うように伸びず、改革の成果を実感しづらい中で、計画を断行する強い指導力が引き続き求められる。(西沢亮)

日刊工業新聞2022年3月8日

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