西川ゴム工業社長・福岡美朝氏/軽量化・遮音性向上、常に
虎視 勝ち筋探る車部品#19
―2021年度実績の見通しは。
「北米事業の好調と対ドルなどの為替の円安で増収となるが、自動車の減産や原料高騰などの外部のマイナス要因が、原価低減策を大きく上回り減益となる見込み。ウクライナ紛争は想定外だ。原油や材料の値上げは今後の業績に響くだろう」
―自動車メーカーの減産や部品の供給不足への対策が急務です。
「自動車メーカーは、半導体製品の調達までは管理できない。発注の急な変動は致し方ない。生産計画を月1回の見直しから、2―3日ごとに変えてムダを極力省いている。今後はシステム障害への対応も必要となる」
―電動化に対応した製品開発も重要です。
「製品の軽量化と高い遮音性を常に目指しているが、顧客の要求は年々高くなる。現在はドア内部の隙間を埋める遮音性の高い板状発泡製品や、樹脂成形により作業工程を省いた製品に力を入れている。既に引き合いがあり、受注に結びつけていきたい」
―25年度に向けスタートした中長期経営計画の進捗(しんちょく)は。
「どう挽回するかが課題だ。北米、中国、東南アジアの事業は今後も伸びると見ている。ウクライナ紛争の早期解決が前提となるが、25年度の売り上げ目標1000億円はいけそうだ。国連の持続可能な開発目標(SDGs)やESG(環境・社会・企業統治)への対応を強めながら、技術を高め地道に取り組んでいく」
【記者の目/真の底力問われる】
福岡美朝社長の信条は「悲観的に備えて楽観的に生きる」。リスクをどう抑え、目標達成するか。原価低減を進め、受注変動に応じて素早く生産を見直し、ムダを抑えてきた。電動化に応じた製品も整いつつある。半導体不足、コロナ禍、ウクライナ紛争など逆風の中で、いかに成果を上げるか。真の底力が問われる。(広島・青木俊次)
日刊工業新聞2022年3月11日