新電元工業社長・鈴木吉憲氏/EV関連品、開発を拡充
虎視 勝ち筋探る車部品#18
―2022年度から新しい中期経営計画を始めます。
「現中計の方針を継続する。主力製品であるレギュレーターや半導体の競争力を上げ、種まきした事業を発展させ、10年後を見据えて新事業にも取り組む。次世代製品の創出を目指して21年に設けた組織では、既存事業とは異なるテーマも含めて検討している」
「22年度のテーマは競争力のあるモノづくり。『新電元ならこの製品』と思われるモノを作りたい。従来であれば通信用電源やレギュレーター、ダイオードだが、次は電気自動車(EV)用の充電器やパワーコントロールユニット(PCU)、蓄電関連だ。脱炭素社会の実現に向け、モビリティーの電動化の流れは変わらない。急速充電器や非接触充電の分野を強化したい」
―事業構造改革の手応えは。
「だいぶ進んだが、完遂したとはいえない。利益を出すためには、安くモノを作ることに主眼を置かないといけない。社員には設計段階から念頭に置いてほしいと言っている。希望退職者募集などをしてきたが、もっとやるべきことはある」
―環境ビジョンを策定しました。
「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向け、再生可能エネルギーなどをさらに活用したい。新中計では、現中計以上に環境問題を意識することになる」
*取材はオンラインで実施。写真は新電元工業提供
【記者の目/尖った製品創出で存在感】
21年に朝霞事業所(埼玉県朝霞市)を新設し機能を集約するなど、事業体制の再構築を進めてきた。足元ではコロナ禍の影響を受けているものの、車両電動化や半導体の需要増といった追い風が吹く。部材価格や物流費の高騰など厳しい環境は続くが、尖った製品の創出を進めることで存在感を発揮していく考えだ。(江上佑美子)
日刊工業新聞2022年3月10日