TBK社長・岸高明氏/電動車向け開発に拍車
虎子・勝ち筋探る車部品#14
―受注動向は。
「部品不足などで顧客の商用車メーカーや建設機械メーカーは苦労しながら生産を続けている。しかし、当社への受注は強く、回復傾向にあると思う。インドやタイの海外工場では新規受注も取れている。業績不振の北米地域でも収益基盤の強化に向けた取り組みを進めている。部品不足の問題が解決すれば良い方向に進む」
―ただ材料費などの高騰が収益を圧迫しています。
「価格高騰は深刻な問題になりつつある。鉄鋼や樹脂、物流費が以前と比べて数倍のコストになっている。今後は顧客の理解も得ながら、商品への価格転嫁もやむを得ないと考える」
―商用車でも電動化が本格化してます。
「足元はエンジン車向け部品が高需要だ。ただ先々、エンジンがモーターに置き換わる。ブレーキのほか、冷却や潤滑を担うポンプはエンジン車向けに注力する一方で、電動車向け製品の開発スピードのギアは上げる必要がある。同様に建機の電動化にも対応する。電動車は電池やモーターの発する熱の冷却が重要だ。電池に関しては気温が低くなると性能が落ちるため、逆に温める必要がある。温度制御をキーワードに電動車向けのポンプの開発などを進める」
―新事業の創出にも注力してます。
「車産業で培った技術ノウハウを生かしてアームなどのロボット部品を手がけ始めたところだ」
【記者の目/設計見直し 他社と連携】
TBKはカーボンニュートラルを実現するための取り組みの一つとして、部品設計の見直しを加速する。例えばプレスの工程数を減らせるように設計を工夫し、生産時のエネルギー消費量の削減を図る。ただ部品設計の見直しは、同社単独では限界がある。効率的な生産を追求していくためには、商用車メーカーとの協力が欠かせない。(日下宗大)
日刊工業新聞2022年2月25日