ニュースイッチ

リチウム空気電池の寿命2倍に、AIとロボットが電解液探索

物質・材料研究機構の松田翔一主任研究員とラムバール・ギヨム主任研究員、袖山慶太郎グループリーダーらは、人工知能(AI)技術と実験ロボットでリチウム空気電池の電解液を探索し、寿命を2倍に伸ばした。1000万通り以上の組み合わせがある実験条件の中で約1万種の電解液を調製して評価し、添加剤の組み合わせの妙を発見した。電極触媒やメッキ、腐食など電気化学反応など幅広く展開できる。

リチウム空気のアミド系電解液の添加剤の配合を検証した。15種類の添加剤の中から5種を選び、濃度は2通り設定する。これで1153万以上の組み合わせ数になる。実験ではまず充放電3サイクル分のデータから反応効率を求める。

局所最適値法という手法で探索すると反応効率は最大で86・1%。ベイズ最適化では92・8%に向上した。この候補の中から電池寿命を評価すると標準電解液に比べ約2倍に延びた。調製した添加剤5種は一つでも欠けると反応効率が大幅に下がる。添加成分が協調的に機能していると考えられる。

日刊工業新聞2022年3月28日

編集部のおすすめ