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6年ぶり高水準見込む産業機械受注額、ウクライナ情勢の影響は?

日本産業機械工業会(産機工)は、2022年度の産業機械受注額が21年度見込み比5・7%増の5兆4412億円になる見通しだと発表した。15年度の5兆4576億円以来の高水準となる。外需はアジアや中東、欧米で受注が増え、同14・9%増の2兆481億円を、内需は民需の減少を官公需が補い、同0・8%増の3兆3931億円を予想する。1月下旬から2月中旬の調査で策定したため、ロシアのウクライナ侵攻の影響は織り込んでいない。

外需は脱炭素化の流れを受け、老朽化した火力発電所の更新需要は減るが、電気自動車(EV)のバッテリーやセンサー、半導体関連の工場新設、水インフラ、天然ガス開発の再開などが期待できるとみる。

産機工は「コロナ禍で止まっていた投資が動くほか、世界経済の回復が寄与する」と指摘する。

内需では、民需が石炭火力発電所の休止・廃止の影響やバイオマス発電所の新規案件の減少により、21年度見込みを下回るとみる。ただ、官公需が下水汚泥の燃料化などの高効率処理への対応、ゴミ焼却場の改良工事増加により、21年度見込みを上回るとみる。

21年度の産業機械受注額は、20年度実績比2・3%増の5兆1492億円になると見込む。

外需は20年度の中東での天然ガス関連の大型受注の反動により、同8・1%減の1兆7821億円に、内需は製造業の幅広い業種の需要回復で、同8・9%増の3兆3670億円になるとみる。

ウクライナ情勢の影響は今回の調査に織り込んでいないが、ロシアへの経済制裁による案件消滅、物流や金融の混乱などが下振れ要因になると見込む。

日刊工業新聞2022年3月24日

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