大学と企業のライセンス契約円滑に、特許庁が作った「モデル契約書」の中身
特許庁は企業と大学がライセンス契約や共同研究契約を結ぶ際の「モデル契約書」を作成した。18日にホームページで公開する。過去の事例を参考に契約書のひな形を用意。双方が不公平感や不安のない円滑な交渉に役立ててもらいイノベーション創出を促す。
大学と企業の間では当事者同士が対等な条件で契約が結べていないのが実情。スタートアップの多くは事業継続が不安定で大学は期待するライセンス収入などの対価を確保できるかが不透明だ。スタートアップの立場が弱い傾向にある。
例えば大学の特許を使ってスタートアップを設立するにはライセンス契約を結ぶ必要がある。モデル契約書では資金力が乏しいスタートアップがライセンスの対価として大学に新株予約権を譲渡し、事業成功時に大学側が報酬を受け取れるような契約を提案する。
一方、大学と大企業との共同研究では、経費だけでなく、研究者が企業との研究に携わった時間ごとの報酬や成功報酬などを記載する。大学が受ける共同研究費が研究の対価に見合っていないなどの指摘があるためだ。
特許庁は新素材などを手がけるスタートアップと大企業のモデル契約書を公表済み。大学の発明技術の社会実装や適切な資金還流の流れもつくる。
日刊工業新聞2022年3月18日