企業の気候変動対策とジェンダー平等は関連あり!?調査が始まった
気候変動対策と男女格差解消(ジェンダー平等)の関連性を調べるプロジェクトを、大崎麻子さん(Gender Action Platform理事)らのメンバーが立ち上げた。100社以上の企業に聞き取り、温暖化対策に熱心で性別による差がなく働ける持続可能な企業を評価する。結果は学生に公開し、就職活動への影響も継続して調査する。(編集委員・松木喬)
プロジェクトは企業の環境対策を採点する非政府組織(NGO)「CDP」の評価で最優秀に選ばれた56社と排出量が多い上位50社を対象とし、16日に中間分析を公表する。4月以降、各社へのアンケートも実施。気候変動対策が進んだ企業には性別の多様性の度合いも調べる。また津田塾大学の学生に関心事を聞き、質問に盛り込む。
環境対策とジェンダー問題は企業内の別部署が担当し、社会も別々に評価してきた。いま、ESG(環境・社会・企業統治)を基準とした企業評価が広がり、気候変動(環境)とジェンダー(社会)、女性役員(企業統治)は企業の持続可能性向上にとって切り離せない課題となっている。
ジェンダー政策を提言する大崎さんは、「ESGの開示情報を見る限り、排出量の多い企業群は取締役会の女性比率は著しく低い」と指摘する。また、笹川平和財団とブルームバーグNEFによる2020年の調査では、電力や石油・ガスなどの業界で女性取締役が3割以上の企業は気候変動対策とイノベーションに積極的な傾向があると分かった。
「ジェンダーダイバーシティと気候変動アクションの関連性プロジェクト」には、吉高まりさん(バーチュデザイン代表理事)、薗田綾子さん(サステナビリティ日本フォーラム事務局長)なども参画した。日本はジェンダー平等の取り組みが遅れており、世界経済フォーラムが21年3月に公表した男女格差のランキングでも156カ国中120位だった。