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「スタートアップ庁」創設…経団連が新興育成へまとめる提言案の中身

経団連がまとめるスタートアップ振興に関する提言の最終案が明らかになった。関連政策を一元的に担う省庁横断の司令塔組織「スタートアップ庁」の創設やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など機関投資家によるスタートアップ投資の促進を盛り込んだ。2027年までにスタートアップ数を10倍の約10万社とし、未上場で企業価値10億ドル超の「ユニコーン企業」を10倍の約100社とする目標を掲げた。スタートアップ振興を日本経済活性化の切り札と位置付ける。

3月中旬にとりまとめ発表する。グローバル市場を席巻するスタートアップは海外でも一握りであることから母数である起業数を大幅に増やす必要があるとした。スタートアップへの年間投資額の目標も10倍の約10兆円にした。企業価値の大きさも重視しており、ユニコーン数の10倍のほか、未上場で企業価値100億ドル超の「デカコーン」を2社以上とする目標も定めた。

これら目標を達成するために「日本を世界有数のスタートアップ集積地に」など5年後に起こすべき七つの変化を提示した上で具体的な戦略を提言した。

現状のスタートアップに関する政策が経済産業省や文部科学省、総務省、内閣府などにまたがり、予算や人材、情報発信面で分断・分散が生じ、一元的な施策が実施しにくいとして司令塔組織の創設を求めた。スタートアップ振興に関する政府の支援策を一元的に発信するとともに、相談から申請、回答まで一気通貫して行えるワンストップ窓口の必要性を指摘した。

また、スタートアップへの投資としてGPIFに注目。GPIFの投資が進めば、民間主体の投資が進み、他の公的年金による投資の呼び水にもなり、スタートアップ投資の市場全体の厚みが増すとしている。アントレプレナーシップ(起業家精神)教育も盛り込み、初等・中等教育から起業教育を実施すべきだとした。

岸田文雄政権は、スタートアップ創出に力を入れており、「スタートアップ5カ年計画」を6月までに策定する方針。経団連としても同提言を基に計画策定に協力する考え。

日刊工業新聞2022年3月4日

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