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世界初、南極で「ローカル5G」試験運用の全容

世界初、南極で「ローカル5G」試験運用の全容

昭和基地の屋外でスマホを操作しローカル5G通信を利用する観測隊員(国立極地研究所提供)

国立極地研究所(極地研)とNECネッツエスアイ(NESIC)は、第5世代通信(5G)を地域限定で利用できる「ローカル5G」を活用し、昭和基地で移動無線通信システムの実証実験を始めた。南極域でのローカル5Gの試験運用は世界初という。期間は2023年1月まで。

ローカル5G基地局設備を昭和基地の基本観測棟屋上に設置し、昭和基地がある東オングル島と周辺の海氷上において、広帯域低遅延の回線を生かした映像中継や基地設備の遠隔監視を行う。

電波は直進性に優れる4・8ギガヘルツ(ギガは10億)帯を利用する。基地主要部の見通しの良い建屋に設置することにより、基地の広い範囲でローカル5Gサービスを利用可能とした。

昭和基地では04年にインテルサット衛星通信設備を設置して以降、観測データの常時送信や有線接続によるインターネット利用が可能となった。現在は基地主要部の屋内でWi―Fi(ワイファイ)も使える。

一方、屋外ではトランシーバーがほぼ唯一の通信手段だが、実証実験期間中は屋外でもスマートフォン端末などを用いたローカル5G通信が可能。観測隊の運営効率化や観測隊員の安全向上につなげる。

日刊工業新聞2022年2月28日

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