モーターの資源リスク抑制、三菱電機が磁石の「応力減磁」定量化に成功した!
三菱電機先端技術総合研究所は、高効率モーターの性能を左右する磁石の応力減磁の定量化に成功した。モーターが回転する遠心力で磁石の力が弱まることが知られていた。これを精密に測定し、可逆的減磁と不可逆的減磁の二つの現象が起きていることを突き止めた。定量化できたことでモーターの磁石量を最適に設計できる。強力磁石は希土類(レアアース)を用いるため資源リスクを抑え、エネルギー効率を高めることにつながる。
超電導コイルの中で試料を加圧し、強力な磁場の中で磁石の磁気特性を測る装置を開発した。温度はマイナス50度―200度C、応力は0―300メガパスカル(メガは100万)の範囲で再現できる。電気自動車の大出力モーターは高温になり磁石に200度C、250メガパスカル程度の応力がかかる。
開発装置で市販のネオジム磁石を計測すると、同じメーカーの磁石でも型番が変わると応力減磁の幅が変わった。磁石内部で可逆的に磁化方向が変わっている結晶粒と、不可逆的に磁化を失ったりしている結晶粒があると考えられる。二つ以上の性能低下メカニズムが働いている。
同社はモーターメーカーとして減磁量をモーター設計に反映させる。これまで減磁を見越して余裕を持った磁石を搭載してきたが最適化できる。磁石使用量を減らせればモーターの重量や希土類などの資源リスクを抑えることにつながる。
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日刊工業新聞2022年2月25日