【COP21を振り返る】♯2 海外企業「脱炭素」支持の真相
竹野実・富士通環境本部長(日本気候リーダーズ・パートナーシップのメンバー企業)に聞く
パリ協定が採択された気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)には多くの海外企業が駆けつけ、化石資源に依存しない「脱炭素」への支持を次々に表明した。異業種連携組織「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(桜井正光代表룄リコー特別顧問)のメンバー企業としてCOP21に参加した富士通の竹野実環境本部長に、海外企業の狙いと日本企業の対応を聞いた。
-会議の印象は。
「歴史的転換となる大きなうねりを現場で感じたいと思って参加した。ビジネスの会議も連日開かれ、登壇する海外企業の80%はCEOだった。それも自ら進んで参加していた」
-日本企業トップがCOPで発言することはありません。なぜ海外企業は積極的なんでしょうか。
「将来も存在していこうという覚悟の現れだ。今後、化石資源を使い続けると訴えられる法的リスクも出てくる。発言しない企業はルールづくりから取り残され、存在が危ぶまれる。だから有利なルールになるようにロビー活動をしている」
-通常のロビー活動なら脱炭素に反対するはずですが、海外企業は賛同しました。
「脱炭素への流れは止められない。どうせ変革が起きるなら自分たちの優位性を保とうと考えていた。ある企業は途上国市場を意識して脱炭素を掲げていた。気候変動の被害を最も受ける途上国の消費者に商品を選んでもらうためだ。極めて資本主義にかなっている」
-脱炭素は企業活動を大きく制約します。
「脱炭素は企業を厳しい局面に追いやる。グローバルで事業を展開している日本企業は、各国の規制にも多面的に応える戦略も持たないといけない。ビジネス機会と捉えて、それぞれの企業が考える必要がある。長い道のりになるため、若い世代を意思決定に参加させるべきだろう」
-日本がビジネス機会を獲得するには。
「技術革新を大規模に起こさないと脱炭素化へのインパクトを出せない。異業種や行政と連携したエコシステムが必要となる。日本気候リーダーズ・パートナーシップも環境という”コト”を軸に異業種が連携し、大きな効果を出したい」
<記者の目>
日本にいると、いつの間にか脱炭素への流れができた印象を受けたが、海外企業は想定済みだった。パリから帰国した竹野本部長、加藤茂夫リコー執行役員に聞くと中国やアフリカの企業も脱炭素をビジネス機会と捉えて発言していたという。日本企業もルールづくり加わり、有利なポジションを獲得してほしい。
(聞き手=松木喬)
-会議の印象は。
「歴史的転換となる大きなうねりを現場で感じたいと思って参加した。ビジネスの会議も連日開かれ、登壇する海外企業の80%はCEOだった。それも自ら進んで参加していた」
-日本企業トップがCOPで発言することはありません。なぜ海外企業は積極的なんでしょうか。
「将来も存在していこうという覚悟の現れだ。今後、化石資源を使い続けると訴えられる法的リスクも出てくる。発言しない企業はルールづくりから取り残され、存在が危ぶまれる。だから有利なルールになるようにロビー活動をしている」
-通常のロビー活動なら脱炭素に反対するはずですが、海外企業は賛同しました。
「脱炭素への流れは止められない。どうせ変革が起きるなら自分たちの優位性を保とうと考えていた。ある企業は途上国市場を意識して脱炭素を掲げていた。気候変動の被害を最も受ける途上国の消費者に商品を選んでもらうためだ。極めて資本主義にかなっている」
-脱炭素は企業活動を大きく制約します。
「脱炭素は企業を厳しい局面に追いやる。グローバルで事業を展開している日本企業は、各国の規制にも多面的に応える戦略も持たないといけない。ビジネス機会と捉えて、それぞれの企業が考える必要がある。長い道のりになるため、若い世代を意思決定に参加させるべきだろう」
-日本がビジネス機会を獲得するには。
「技術革新を大規模に起こさないと脱炭素化へのインパクトを出せない。異業種や行政と連携したエコシステムが必要となる。日本気候リーダーズ・パートナーシップも環境という”コト”を軸に異業種が連携し、大きな効果を出したい」
<記者の目>
日本にいると、いつの間にか脱炭素への流れができた印象を受けたが、海外企業は想定済みだった。パリから帰国した竹野本部長、加藤茂夫リコー執行役員に聞くと中国やアフリカの企業も脱炭素をビジネス機会と捉えて発言していたという。日本企業もルールづくり加わり、有利なポジションを獲得してほしい。
(聞き手=松木喬)
日刊工業新聞2015年12月30日1面